ライフ

絆創膏で傷は治る? マウスウオッシュは虫歯予防になる?

「擦り傷にかさぶた」は昔の話(写真/PIXTA)

 全国のドラッグストアの総売上高は年々伸び続け、2018年には7兆円を突破。今や日本人の生活に欠かせない存在となっている。しかし、あらゆる薬が容易に手に入るからこそ、その効果は言ってみれば玉石混交ともいえる。

 自己判断で使用して思わぬ副作用を招いてしまうこともある。その一例を紹介する。

 絆創膏を貼っておけば安心と思っていたが、それがかえって傷を悪化させていたとは。加藤整骨院院長の加藤進さんはこう言う。

「昔は、傷を乾燥させて早くかさぶたを作った方が治りが早いとされていました。しかし、今は潤いを保ったまま空気に触れさせない『湿潤療法』の方が傷を早く治し、傷痕も残りにくいため主流になっています。

 そのため、昔ながらのガーゼのついた安価な絆創膏は治りが遅く、ガーゼが傷口に張りついたりして逆効果。多少値が張っても、『キズパワーパッド』のような湿潤のテープを選んで」

 湿潤療法の三原則は、「水でよく洗う」「消毒しない」「乾かさない」。意外に思うだろうが、消毒してはいけない。新潟大学名誉教授の岡田正彦さんは解説する。

「擦りむいたりけがをしたら、まず消毒液で消毒するのが常識でしたが、今はまったくの逆。消毒液の作用が強すぎて、健康な皮膚まで傷つけたり死滅させてしまうのです」

 CMでよく見かける胃薬だが、選び方ひとつで悪化することも。『薬は減らせる!』(青春新書インテリジェンス)の著者で薬剤師の宇多川久美子さんはこう語る。

「市販の胃薬のなかで『H2ブロッカー』を配合したものは、胃酸の分泌を抑える効能があります。胃もたれや消化不良の時にのむと胃酸不足の胃の中がかえって荒れてしまうのです。
 また、胃酸は強力な酸でウイルスや細菌を死滅させる役目があり、分泌量が減ると滅菌力が下がって、ウイルス性胃腸炎にかかりやすくなります」

 胃薬は胃痛の原因で使うべき薬が変わる。たとえば、食べすぎによる胃もたれの場合は胃酸を中和する漢方ベースの胃薬、お腹に不快感があり、空腹時や朝、口臭がひどい時は胃粘膜を保護するタイプの胃薬、食後の膨満感が続く場合は消化酵素や乳酸菌剤が含まれたものをのむとよい。

  ドラッグストアで購入する場合は、自己判断せず必ず薬剤師に相談しよう。

 就寝前の習慣にしている人も多いマウスウオッシュ。これも実は、虫歯や歯周病の予防効果は期待できない。

「マウスウオッシュには、血管を丈夫にして鼻づまりを解消するとされる『トラネキサム酸』や抗炎症作用があるとされる『グリチルリチン酸ジカリウム』などが含まれていますが、どちらも研究による効果は証明されておらず、つまりはエビデンスがない。

 虫歯は、歯磨きですら予防の科学的根拠がないといわれるのに、マウスウオッシュをするだけで虫歯や歯周病が予防できるとは思えません。また、マウスウオッシュでは歯に付着した歯垢をはがしたり、除去はできません。エチケットとして使う分にはよいですが、虫歯や歯周病の予防効果は期待できないでしょう」(岡田さん)

※女性セブン2019年11月21日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン