上記に挙げた以外では、今年6月に『アラジン』がウィル・スミス主演で実写化、8月に『ライオン・キング』がCGで実写化されました。やはり中高年層と若年層の両者を狙い撃ちするために、大ヒットしたアニメ映画にアレンジを加えて制作されたのです。
いずれにしてもコンテンツビジネスは、以前よりも中高年層の重要度が増してきました。作り手たちは、『ぼくらの7日間戦争』に31年前のヒロイン・宮沢りえさんを同じ中山ひとみ役で再出演させたり、『ヤヌスの鏡』に34年前のヒロイン・杉浦幸さんをナレーションに起用したり、過去作とのつながりを作って中高年層の関心を引こうとしています。
親子、祖父母と孫、年齢の離れた友人同士、上司と部下など、世代を超えて楽しみ、共通の会話となりうるのが、懐古アレンジ最大の魅力。高齢化社会がまだまだ進行していく中、令和初期のブームとしてしばらく続いていくのではないでしょうか。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月20本超のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動している。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。