ビジネス

自己肯定感が低い若手社員には「失敗体験」が欠けている

◆失敗体験ができる環境づくりを

 そこで大切になるのが、成功体験と同じくらいに失敗体験をする機会を与えることである。

 かつて震災の救援活動に派遣された自治体職員の上司がこんなことを話していた。任務を終えて元の職場に戻ってくると、頼りなかった部下が見違えるほど成長し、指示しなくても自分から主体的に行動するようになっていたという。そして上司や仕事の関係者にも堂々と意見を言えるようになった、と。

 被災地の厳しい環境下では、日々が成功と失敗の連続だ。そのため成功したら自分の実力・努力を実感できるし、少々失敗しても落ち込まなくなる。むしろ、次の成功につなげる糧となるのである。

 したがって、普段の仕事でも自然に成功と失敗の経験を積めるような環境を用意すればよいのだ。

 例えば、所属部署や会社の枠を超えたプロジェクトに参加させる。あるいは一人でお客さんを相手に仕事をさせるとか、市場の評価にさらす。顧客や市場は手加減をしないので失敗したら自分の弱点を知ることができるし、成功して評価されれば自信が得られる。

 ただ失敗して立ち直れなければ元も子もないので、失敗してもへこたれずに挑戦するようにフォローしてやることは必要だ。

 大阪の「太陽パーツ」という会社では、前向きな挑戦をして失敗した社員に“大失敗賞”という賞を贈り、表彰している。受賞した社員はそれを機に一層頑張るようになり、翌年には優れた業績をあげて社長賞を受賞するケースが多いという。

 また、この賞を取り入れてから社内には失敗を恐れず挑戦する空気が生まれ、ミスを隠さなくなったので大事故につながるリスクを減らすことにもつながっているそうだ。

 一般に欧米社会では、わが国と比べて失敗に寛容だ。アメリカでは起業に失敗してもむしろ拍手を浴びるくらいだし、デンマークでは「失敗しないやつは何も知っていないのと同じだ」と言われるそうだ。

 自信を持って前向きに挑戦する人材を育てるには、企業も社会も失敗できる環境づくりが必要なのではなかろうか。

関連記事

トピックス

大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平が帰宅直後にSNS投稿》真美子さんが「ゆったりニットの部屋着」に込めた“こだわり”と、義母のサポートを受ける“三世代子育て”の居心地
NEWSポストセブン
現場には規制線がはられ、物々しい雰囲気だった
《中野区・刃物切りつけ》「ウワーーーーー!!」「殺される、許して!」“ヒゲ面の上裸男”が女性に馬乗りで……近隣住民が目撃した“恐怖の一幕”
NEWSポストセブン
シンガポールの元人気俳優が性被害を与えたとして逮捕された(Instagram/画像はイメージです)
避妊具拒否、ビール持参で、体調不良の15歳少女を襲った…シンガポール元トップ俳優(35)に実刑判決、母親は「初めての相手は、本当に彼女を愛してくれる人であるべきだった」
NEWSポストセブン
「ミスタープロ野球」として広く国民に親しまれた長嶋茂雄さん(時事通信フォト)
《“ミスター”長嶋茂雄さん逝去》次女・三奈が小走りで…看病で見せていた“父娘の絆”「楽しそうにしている父を見るのが私はすごくうれしくて」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ犯から殺人犯に》「生きてたら、こっちの主張もせんと」八田與一容疑者の祖父が明かしていた”事件当日の様子”「コロナ後遺症でうまく動けず…」
NEWSポストセブン
「グラディアトル法律事務所」の代表弁護士・若林翔氏
【改正風営法、施行へ】ホストクラブ、キャバクラなどナイトビジネス経営者に衝撃 新宿に拠点を持つ「歌舞伎町弁護士」が「風俗営業」のポイントを解説
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「本人にとって大事な時期だから…」中居正広氏の実兄が明かした“愛する弟との現在のやりとり”《フジテレビ問題で反撃》
NEWSポストセブン
長嶋茂雄・巨人軍終身名誉監督からのメッセージ(時事通信フォト)
《長嶋茂雄さんが89歳で逝去》20年に及んだ壮絶リハビリ生活、亡き妻との出会いの場で聖火ランナーを務め「最高の人生」に
NEWSポストセブン
中居正広氏の兄が複雑な胸の内を明かした
「兄として、あれが本当にあったことだとは思えない」中居正広氏の“捨て身の反撃”に実兄が抱く「想い」と、“雲隠れ状態”の中居氏を繋ぐ「家族の絆」
NEWSポストセブン
今年3月、日本支社を設立していたカニエ・ウェスト(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストが日本支社を設立していた》妻の“ほぼ丸出し”スペイン観光に地元住人が恐怖…来日時に“ギリギリ”を攻める可能性
NEWSポストセブン
ゆっくりとベビーカーを押す小室さん(2025年5月)
《子どもの性別は明かさず》小室眞子さんの第一子出産に宮内庁は“類例を見ない発表”、守谷絢子さんとの差は 辛酸なめ子氏「合意を得るためのやり取りに時間がかかったのでは」
NEWSポストセブン
現在、闘病中の西川史子(写真は2009年)
《「ありがとう」を最後に途絶えたLINE》脳出血でリハビリ中の西川史子、クリニックの同僚が明かした当時の様子「以前のような感じでは…」前を向く静かな暮らし
NEWSポストセブン