岩手・遠野でのビアツーリズム
──ビールメーカーの社員が、なぜホテル経営学を?
元々は、飲食店などの業務用営業において、付加価値営業を進めようと思い、ホテル経営学を学ぼうと留学を考えました。ですがその後、キリンホテル開発という会社で、「ホップインアミング」という直営ホテルの総支配人を2年務めることになったんです。
当時、キリンビールの尼崎工場(兵庫県)を閉鎖し、神戸に新工場を作ることになって、工場跡地を再利用してできたホテルでした。
大阪中心部のホテルと比べ、立地の不利さはいかんともし難かった。私は固定費を削減するため、自らアシスタントマネージャーとして夜勤を買って出て、夜間の館内点検からロビーの清掃までやりました。
すると従業員たちも「自分に何ができるか」を考えて動いてくれるようになった。従業員とともに汗を流し、成果を上げていく過程は本当に充実していました。最終的には90%近い客室稼働率も達成できました。
ホテルを立ち上げた私自身が2007年にJR西日本さんへの売却を決断することになるのですが、あれは断腸の思いでしたね。
キリンビール本体以外の場所で長い時間を過ごしてきましたが、それはすべて自分の血肉になっていると思います。
◆飲料に並ぶ「柱」を作る