2世議員も登場する(『恋と国会』1巻より)

 日本の政治を見ていると、理想的な政治家像なんて無いのではないかと思えるんです。アメリカのトランプ大統領なんかもそうですが、政治家ってその時代ごとの“風”の中でできあがっていくものですよね。しかも、日本国民は“物分かりがいい”から、“上の人”がうまい具合に国民を操る形がはまってしまう。強い主張やリーダーシップを振りかざさない、むしろ不出来に見えるくらいがうまくいく。

 私は、「国民を困窮させないこと」「戦争をしないこと」の2点をおさえてさえくれれば、誰がリーダーをやってもいいとさえ思っているんです。だけど、それも脅かされようとしているのが今の日本ですよね。

 たぶん我々は、大変なところに連れていかれようとしているんです。実際、戦争ができる方向に日本は舵を切っています。今のうちに手を打たないといけない。でも、反対するのは面倒だからみんな黙っている。「わざわざ自分が言い出さなくても…」とみんなが思っている。

 オリンピックも“天佑”として、いいように利用されているだけじゃないでしょうか。みんなの頭に楽しいことだけを吹き込んで、本当に直面している足下の問題に関しては思考が向かないようにしているのではないかと思うんです。

 ポリティカルな発言をすると他人に足を引っ張られる。日本にはそういう政治風土もありますよね。「戦争反対」と言っただけで、「ああまた始まったよ」「意識高い系なんですね」と、おとしめられてしまう。

 今の日本国民は“ゆでガエル”なんです。水が少しずつ熱されていて、いつの間にかゆで上がろうとしている。その事実にみんな気づいていない。いや、気づいていても気づかないふりをしているのかな。ゆでられていてもみんな一緒だから仕方ないかって…。

◆「桜を見る会」にはお国柄が表れている

 コラムニストの小田嶋隆さんが「桜を見る会」の一連のニュースにからめてラジオで言っていたことですが、そもそも日本の民主主義は、勝ち得たものではなく、“頂いたもの”。もらっただけだからそれに対して切実な思いもないし、肝心の使い方さえわかっていない。手放したらどうなるかという体験もしたことがない。

「桜を見る会」にはこういう日本の“お国柄”が本当によく表れています。日本は、お金を持っている人のおこぼれにあずかることが当たり前のムラ社会から、抜け出せていないんです。お金持ちと仲良くしておけば就職の世話も、良い病院の紹介もしてもらえる。おこぼれにあずかるためには、コネ作りって必須ですものね。「桜を見る会」の問題がこれまで突っ込まれてこなかったのは、威厳者のおこぼれを当然視するムラ社会の構図が依然根強いからです。“ゆでガエル”状態で政治に関心のない多くの日本人が、そこから目覚めて民主主義を語るのは、とても難しいことでしょうね。このままだと引き返せなくなるのではと思うと、日本の先行きが本当に不安です。

◆教育が劣化、「詰め込み式」に戻すべき

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