ライフ

2020年の食のトレンド 「グローカルフード」に注目が集まる

中国料理店の進化も著しい(写真:アフロ)

 何を食べるかはつまりどう生きるか、につながる。オリンピックイヤーの食卓にはどういった変化が見込まれるのか。食文化に詳しい編集・ライターの松浦達也氏が指摘する。

 * * *
 人間の営みのまわりには、必ず流行りすたりがある。昨年末には2019年の「食」について総括をしたが、2020年の「食」について年頭にあたり、恒例の今年来る「食」を予想しておきたい。まず五輪イヤーとなる2020年の今年、注目が集まるのは「グローカルフード」だ。昨年、大流行した台湾の「タピオカ(ミルクティー)」やコリアンタウン発の「ハットグ」のような海外の流行をそのまま取り入れるだけでなく、海外でもより狭い地域、未知なるエリアで人気だったものが発掘され、紹介されて人気を獲得するはずだ。

 すでにその兆しは飲食店の現場でさまざまな形で起きている。日本の名店で研鑽し、キャリアを積んだシェフが、海外の数十か国を巡った後、昨年オープンさせた中国料理店があっという間に予約の取れない名店となり、話題となった。確かな舌と腕で、現地の味を日本に持ち込み、サービスなどを含めてこの国の気風と風土に合わせて微調整したところ、名だたる食通から絶賛を受けることになったのだ。

 ジャンルとしての中華も引き続き注目が集まる。近年、埼玉県の西川口にはこれまで中国の奥地でしか食べられなかった現地の郷土料理を食べさせる飲食店が雨後のタケノコのように開店した。背景には風俗店の一斉摘発で空きテナントが大量に発生したこともある。中国の奥地まで足を運び、現地の料理や食文化を紹介するライターもいるし、中華圏の料理を再構築して提供する、四谷・荒木町の料理店も大人気だ。

 中国料理だけではない。日本に焦がれたメキシコ人シェフが、生地をトウモロコシから挽く三軒茶屋のタコス店にはファンが引きも切らない。日本在住歴の長いインド人オーナーも銀座のど真ん中にスパイスを中心に据えたフュージョン料理店をオープンさせた。中央アジアのウズベク・キルギスの郷土料理を現地出身のシェフが提供する店のカウンターは在日中央アジア人でパンパンだし、ラオス、ミャンマーなど東南アジアと日本を行ったり来たりするご夫婦が、現地料理を振る舞うサロンも常に予約で満杯だ。

関連記事

トピックス

前号で報じた「カラオケ大会で“おひねり営業”」以外にも…(写真/共同通信社)
中条きよし参院議員「金利60%で知人に1000万円」高利貸し 「出資法違反の疑い」との指摘も
NEWSポストセブン
昨年ドラフト1位で広島に入団した常広羽也斗(時事通信)
《痛恨の青学卒業失敗》広島ドラ1・常広羽也斗「あと1単位で留年」今後シーズンは“野球専念”も単位修得は「秋以降に」
NEWSポストセブン
中日に移籍後、金髪にした中田翔(時事通信フォト)
中田翔、中日移籍で取り戻しつつある輝き 「常に紳士たれ」の巨人とは“水と油”だったか、立浪監督胴上げの条件は?
NEWSポストセブン
二宮が大河初出演の可能性。「嵐だけはやめない」とも
【全文公開】二宮和也、『光る君へ』で「大河ドラマ初出演」の内幕 NHKに告げた「嵐だけは辞めない」
女性セブン
新たなスタートを切る大谷翔平(時事通信)
大谷翔平、好調キープで「水原事件」はすでに過去のものに? トラブルまでも“大谷のすごさ”を際立たせるための材料となりつつある現実
NEWSポストセブン
品川区で移送される若山容疑者と子役時代のプロフィル写真(HPより)
《那須焼損2遺体》大河ドラマで岡田准一と共演の若山耀人容疑者、純粋な笑顔でお茶の間を虜にした元芸能人が犯罪組織の末端となった背景
NEWSポストセブン
JR新神戸駅に着いた指定暴力団山口組の篠田建市組長(兵庫県神戸市)
【ケーキのろうそくを一息で吹き消した】六代目山口組機関紙が報じた「司忍組長82歳誕生日会」の一部始終
NEWSポストセブン
元工藤會幹部の伊藤明雄・受刑者の手記
【元工藤會幹部の獄中手記】「センター試験で9割」「東京外語大入学」の秀才はなぜ凶悪組織の“広報”になったのか
週刊ポスト
映画『アンダンテ~稲の旋律~』の完成披露試写会に出席した秋本(写真は2009年。Aflo)
秋本奈緒美、15才年下夫と別居も「すごく仲よくやっています」 夫は「もうわざわざ一緒に住むことはないかも」
女性セブン
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
森高千里、“55才バースデー”に江口洋介と仲良しショット 「妻の肩をマッサージする姿」も 夫婦円満の秘訣は「お互いの趣味にはあれこれ言わない」
女性セブン
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
【初回放送から38年】『あぶない刑事』が劇場版で復活 主要スタッフ次々他界で“幕引き”寸前、再出発を実現させた若手スタッフの熱意
女性セブン
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
【悠仁さまの大学進学】有力候補の筑波大学に“黄信号”、地元警察が警備に不安 ご本人、秋篠宮ご夫妻、県警との間で「三つ巴の戦い」
女性セブン