京成電鉄3400形とAE形スカイライナー(時事通信フォト)
交通量や遮断時間の長さ、看板を設置できるスペースがあるかないかを勘案し、京成は2020年3月末までに93ヶ所の踏切にQRコード付き看板を設置する予定にしている。
「2020年3月末までに93ヶ所という数字と期限は、あくまでも年度内の目標です。2020年4月以降も、順次、踏切にQRコード付き看板の設置を進めて、安全対策を充実させていく方針にしています」(同)
本来、鉄道会社にとってお客様は乗客になる。踏切を往来する通行人は京成の利用者ではない。しかし、京成では「仮に京成に乗ることがなくても、地域にお住まいの方々はお客様であると考えています」(同)という精神に基づき、通行者への情報提供のために踏切へのQRコード付き看板の設置を急ぐ。
今般、東京圏や大阪圏といった大都市圏では開かずの踏切が深刻化し、鉄道会社や行政の課題になっている。東京近隣では鉄道会社と行政、近隣住民などが協力して開かずの踏切の解消を目指す取り組みが活発化している。
開かずの踏切を抜本的に解消するには立体交差化がベストの選択と言えるが、立体交差化には周辺の土地買収や補償をしなければならない。それには、住民との話し合いや交渉などが伴い、約20年~30年の歳月がかかる。費用も莫大になる。一筋縄では解決できない。その間も開かずの踏切問題は燻る。
現在、踏切に運行情報を提供するQRコード付き看板の設置を進めているのは京成だけだが、どこの鉄道会社も安全を確保への努力を惜しまない。今後は他社にも広がっていくだろう。
京成が新たに始めた踏切にQRコード付き看板を設置するという手法は、あくまでも開かずの踏切対策のひとつに過ぎない。これで万事解決とはならないが、開かずの踏切対策は着実に前進している。