健康志向の高まりで人気のサプリメントや特定保健用食品(トクホ)にも落とし穴がある。アンチエイジングサプリとして知られるコエンザイムQ10の成分は別名「ユビデカレノン」だ。
「これは強心薬として処方される薬の成分と同じで、心臓病の薬とコエンザイムQ10を併用すると過剰摂取になり、吐き気などの副作用が起こりやすくなります」(長澤氏)
虫歯になりにくい特定保健用食品であり、ガムなどに含まれるキシリトールは糖尿病薬との相性がよくない。
「糖の吸収を遅らせる糖尿病薬であるα-グルコシダーゼ阻害薬とキシリトールを併用すると、腸内細菌が増えてしまう。そこにキシリトールが持つ下痢の副作用が重なってしまうことがあります」(長澤氏)
持病のある人がサプリメントなどを服用する場合は、自己判断で飲むのではなく、かかりつけ医などに事前に相談することが望ましい。
では、薬との飲み合わせが悪い食品を食べてしまった後に「しまった!」と気づいた場合はどうすべきか──。大原則は、「体調不良が出たら副作用かもしれないので、すぐ病院に行く」ということ。服用した薬と食べた食材、そして食べた時間をメモしてから受診するとスムーズになる。
目まいや嘔吐、頭痛などの初期症状が出た場合、自宅でできる応急処置は、「水を飲むこと」だ。「食べ合わせが原因の場合、水をたくさん飲むことで胃の内容物が薄まりリスクを減らすことができます」(長澤氏)
まずは薬の服用時、「何を食べたかな」と気にする習慣を身につけることが大切だ。
※週刊ポスト2020年1月17・24日号