◆5分ごとに体操!?
障害や持病のある生徒のために、申請を受けて特別対応をすることもある。必要な制度ではあるが「5分ごとに椅子から立ち上がって体操しないと集中できない」受験生もいたそうだ。
「特別室で受験させて私が立ち合いましたが、少なくとも試験中、一度も体操しませんでした(笑い)。トイレが近いという理由で教室の入口近くに座らせることもあるし、腰痛があるからと特別室で受験した生徒もいます。特別室で腰痛がラクになるのかは疑問でしたね。“言ったもの勝ち”的な部分があるのは事実です」
藤森氏自身も「試験監督同士の話し声がうるさい」とクレームを受けたことがある。
「その部屋では、私を含めて6名が試験監督をしていました。受験生が集中できるように試験監督同士の打ち合わせは小声で話すルールで、ため息や咳も禁止。いつものように声の大きさには気をつけていたはずなのに、どの会話がうるさかったのか……。受験生は別室で待機する高校教師や親に文句を言い、そこからクレームがくるケースが多かったですね。とにかく神経質な生徒が多くて気を使いました」
こんなクレームが目に見えて増え始めたのは、2000年代半ば頃からだと藤森氏は言う。
「些細なことでクレームを言う親が登場して、その子供たちが大学に進学しだした時期と一致しています。新テストになっても大学教員が解放されることはないでしょうが、試験監督たちが疲弊しているのは事実です」
※週刊ポスト2020年1月17・24日号