日本のメディアを前に緊張しているのか、肘掛けを両手でつかむシーンも(写真はレバノンでの単独インタビュー時)
──なぜこんなことになったと思うか。
「恐怖から起きたことだ。仕事を失うことの恐怖、合併されることの恐怖。西川(廣人・日産前社長)がCEOに就任してから、業績は低迷していた。このままでは解任されると彼は思ったのだろう。
そのほかの日産の人間も、私がルノーに日産が吸収合併される地固めをしているのではないかと疑っていたようだ。実際には私は、日産とルノーはアライアンスを維持するべきだと思っていたし、そのためにフランス政府とも交渉してきたのだが。私が日本に来た1999年当時も、日産の幹部にはルノーに合併される恐怖があった。彼らは業績がいい時は黙っていたが、日産が低迷してから、そうした恐怖が再び蘇ったのだろう」
──予兆に気付かなかったのか。
「全く気付かなかった。私は人の心を読めなくなっていたのかもしれない」
──日本について今、率直にどう思っているか。
「いろんな日本を見てしまい、複雑な気持ちだ。良い面も悪い面も。私にとって信頼できる政治家は小泉(純一郎・元首相)さんだった。彼は裏表がなく、決断もできる。しかし、他の政治家たちはそうではない」