文科相の萩生田光一氏(写真/共同通信社)
◆量販店の値段の「3倍以上」
パソコンの国内市場(年間総出荷台数)が約1000万台のなか、小中学生は約930万人。メーカー側には特需だ。
日本マイクロソフトは昨年7月、文部科学省の指定に対応したモデルを約50種に倍増すると表明し、ダイナブック社も10月、新たに学習用PCを発表している。
購入の主体は学校を設置する教育委員会だが、巨額の予算は適正なのか、と当然疑問がわく。いったい、1台いくらのパソコンを買うというのか。
昨年6月に文科省が出した報告書は〈店頭には一般向けの4万円台~5万円の端末も並んでいる〉ことを目安にしており、今回の措置についても「端末の調達費用の補助単価は4万5000円」(情報教育・外国語教育課)と説明した。補正予算の約2300億円、総事業費の約4000億円という金額は、この前提から算出されている。
だが、現場を取材すると違和感を覚える。“そんな価格で本当に調達できるのか”という疑念が拭えないのだ。
そもそも文科省はこれまで「3クラスに1クラス(3人に1台)」を目標に整備を進めてきた。2018年度から5年間で計9000億円もの地方交付税をばらまいているが、実際に整備されたのは全国平均で5.4人に1台(昨年3月時点)と目標に届いておらず、佐賀県で1.8人に1台、愛知県では7.5人に1台と、地域によってばらつきがある。
ネックの一つが、調達コストだ。