高精度を過信してはいけない(写真/AFLO)
放射線を用いて身体の断面を撮影して病巣を発見するCT検査。人間ドックのオプションとして選択する人も多いはずだ。
だがナビタスクリニック川崎の谷本哲也医師は「CT検査は万能ではありません」と指摘する。
「CTは体を5~10mmほどの厚みでスライスした画像を撮影できる検査で、肺がんや膵臓がんの発見に適しますが、表面にある初期の胃がんや大腸がんは見つけにくい」
CT検査では、人為的ミスの存在も明らかになっている。
大阪市の病院では、2018年にCT検査を受けた男性の左肺に長さ4.3cmの腫瘍がある可能性を画像診断科の医師が指摘し、電子カルテに「精査を」と記載したが、心臓内科の主治医が見落とし、必要な治療をしなかった。この男性は1年9か月後にステージ4の肺がんと骨への転移が判明した。
岩手県の病院では、2015年にCT検査を受けた60代男性の画像診断報告書に腎細胞がんの疑いが記載されていたが、呼吸器内科の主治医がその報告書を読まず、その後男性は腎細胞がんが見つかって死亡した。
最近になりこれらの「見落とし事例」が全国で毎月のように報告され、危機感を抱いた厚生労働省は電子カルテシステムの機能強化などの対策を急いでいる。
※週刊ポスト2020年2月7日号