「今回、出羽海一門の境川部屋に所属する豪栄道が継承した『武隈』は、もともと伊勢ヶ濱一門の株。貴乃花騒動を経て、親方衆は5つある一門のいずれかに属さなくてはならないルールになり、一門外に株が流出するのを防ぐ流れが強まっているなかで、例外的なケースです。『武隈』は元関脇・黒姫山が長く持っていた株で、境川部屋に黒姫山の孫(幕下・田中山)が入門した関係もあって継承できたのではないか。
折しも初場所後はちょうど2年に一度の理事改選の時期。結果的に無投票になったが、“武隈親方の1票”を必要とする勢力があって、豪栄道の引退、襲名を駆け引きに使ったとの見方もある」(ベテラン記者)
そうした一門の縛りに加え、「70歳まで定年延長する親方が増え、慢性的な年寄株不足」(同前)だといい、力士たちが簡単には引退できなくなっている。
構成員の高齢化でポスト不足──角界は日本社会の縮図かもしれない。
※週刊ポスト2020年2月14日号