大阪・阿倍野区にある『助産院ばぶばぶ』院長で助産師のHISAKOさんは自らも11人の子を産んだ肝っ玉母さん。全国から彼女のもとへと駆け込む母親の数は約5万人にも上る。
『助産院ばぶばぶ』のもとを訪れる母親たちの悩みで多いのが母乳不足ではないかという相談。だが、HISAKOさんは「たいていの場合はお母さんの思い込みによるもの」だと言う。
「病院や健診などで『ミルクをもっと足した方がいい』と指導され、『私のおっぱいはダメなんだ』と傷ついている人もとても多いですが、諦める必要はありません。母乳は赤ちゃんに吸わせれば吸わせるほど分泌されるメカニズムになっています。これは、母乳を生成するホルモンが乳首への刺激によって作動するため。おっぱいが張っていなくても1日少なくとも10回は吸ってもらうようにすれば母乳量は増えてきます」(HISAKOさん・以下同)
たっぷりと母乳を飲ませたいという思いから、おっぱいが張るのを待って授乳間隔をあけてしまうのは逆効果。吸われることで新鮮な母乳が効率よく分泌されるという。
赤ちゃんがうまく乳頭をとらえているかどうか? これは赤ちゃんの口角をチェックするとわかる。
「乳首ではなく、乳輪の深いところからくわえさせ、口角から舌がチラチラと見えるようであれば上手に吸っている証拠。下顎がパクパクしたり、チュッチュッと音がする場合は浅い吸い方になっているので、赤ちゃんの下唇を指でそっと叩いてあげて大きく口を開かせてあげて」
また、乳輪や乳頭が硬いと赤ちゃんが上手にくわえられないので、授乳前に前搾りをするのがポイント。
「乳輪に指をあてて優しく包み、母乳がにじみ出て乳輪が柔らかくなってから与えるとよいです」
ミルクと違って母乳の場合はしっかりと飲めているかどうかの見分けが難しい。目安はおしっこの回数で。
「おむつが1日6~8枚ほど濡れていれば、問題ありません。母乳は足りていると判断します。お母さんたちは“○時に飲ませたから次は○時に”と、とかく数字に左右されがちですが、肝心の赤ちゃんの様子を見失わないためにも自分の直感を大事にしてもらいたいですね」
※女性セブン2020年2月20日号