何ですか? SG飾りって。読者にはわけがわからないまま、業者がやってきて飾りつけをし、幸せに満ちたパーティが行われるのだが、やがてSG飾りの正体が明らかになる。移民社会アメリカのリアリティが込められた物語だったのだ。この飾りをめぐって事件が起こり、一家は以前よりも悲惨な状況に陥る気配が漂う。それでも男は淡々と日記に書き、最後にはほのかな希望さえ感じさせる(「センプリカ・ガール日記」)。
ほかにも、中世ヨーロッパしばりのテーマパークで働く若者や、暴力衝動を抱える中東から戻った帰還兵などの主人公によって、アメリカに横たわる問題が浮かび上がり、胸にしみていく。
※週刊ポスト2020年2月21日号