「死ぬまで一人」という覚悟を持つことです。それを持たず、「誰かが何とかしてくれるだろう」と気を抜いていると衰えが早くなってしまいます。
最近、ハッとさせられたのは大相撲の元大関・豪栄道の言葉です。今年1月、初場所後の引退会見で豪栄道は、15年の土俵人生で貫いた信念として「やせ我慢」を挙げて、「つらい時とか苦しい時に、人にそういう所を見せないように努めていました」と振り返りました。
私は大相撲ファンですが、思わず「よく言った。お見事!」と膝を打ちました。
人間、生まれてきたのが一人ならば、死ぬのも一人。自分の面倒は、死ぬまで自分で見なければなりません。
そしてやせ我慢をしながら自分を見つめる時間を持つことができれば、「極上の孤独」を愉しめるはずです。
●しもじゅう・あきこ/作家、評論家。1936年生まれ。早稲田大学卒業後、アナウンサーとしてNHKに入局。在籍9年で退局し、フリーに。民放キャスターを経て文筆活動に入る。『家族という病』『極上の孤独』(いずれも幻冬舎)は50万部を超えるベストセラーに。
※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号