国内

鬼女による炎上背景に日本女性の抑圧か、雇用問題の影響も

鬼女化する背景には、女性たちへの抑圧が?

 1月下旬に報じられた、東出昌大(32才)と唐田えりか(22才)の不倫騒動。東出が、妻である杏(33才)を第3子妊娠中から裏切っていたことやその期間が2年半にわたっていたこと、そして唐田が東出との交際を匂わせる写真やコメントをSNSに頻繁に投稿していたことで、世の女性たちの激しい怒りを買っている。発覚から1か月近く経とうとする今もなおバッシングは終息せず、東出はCMを、唐田はドラマを降板している。

 さらに、藤本敏史(49才)と離婚を発表した木下優樹菜(32才)。その後不倫が噂された木下がインスタグラムの投稿を使って、相手と取り沙汰されていたサッカー・乾貴士選手(31才)に宛てたと思われるメッセージをアップしたことで一気に認識されるようになった。愛娘と一緒に写った写真に添えられた文章の最初の文字を“縦読み”すると《たかしあいしてるずーーっと》と読むことができると騒動に。

 これらへのバッシングは記憶に新しい。SNS上での“調査”を繰り広げる“鬼女”たち。匿名掲示板「5ちゃんねる」の「既婚女性板」の“住民”の略で、ネット上の点と点の情報を「線」に繋ぎあげる調査能力が恐れられている。

 そのベースには社会や環境への不満が根ざしている点は無視できないだろう。フランス在住の評論家で『フランス人の性 なぜ「♯Me Too」への反対が起きたのか』(光文社新書)の著書があるプラド夏樹さんはこう言う。

「日本の女性はあまりにも抑圧されすぎている。職場ではヒールを履いて、眼鏡はしてはいけない、といった服装の不自由さに加えて、セクハラやマタハラはいまだに横行しています。

 子供を育てたり、両親の介護をするのは、女性が主体です。そんな中で、“どうして私はこんなにがまんしているのに、あの人たちは自由が許されるんだろう”という不満が怒りとなって表れるのは、無理もない話」

 コラムニストの今井舞さんは、鬼女たちが暗躍する背景には、女性の雇用問題があると指摘する。

「今の社会は、出産などで仕事を辞めると正社員として復帰するのはかなり難しい状況にあります。鬼女板には、女性に限らず、能力と時間があるのに生かす場所がない人たちの、行き場を失ったエネルギーの吹きだまりといった一面があるように思えます。

 点を線につなげてクリアしていくゲーム性と、倫理に反した人気者の裏の顔を自らの手で暴く快感。スキルと時間とフラストレーションを持て余す人間にとって、これ以上の気晴らしはないのかもしれません。そのバイタリティーをもっとほかのことに生かせれば、と思うばかりです」

 総務省の調査では、女性労働者の半数は非正規雇用にとどまっており、その割合は30代を越えると6割近くなる(2018年度)。

 抑圧的な社会に蔓延する不満はそのまま。私たちの気持ちの拠り所はどこにもっていったらいいのだろうか。精神科医の片田珠美さんはこう言う。

「確かに他人を叩いて失墜させるとその時だけは相対的に自分が上がる気分になるかもしれませんが、不平不満の解消にはならず、次のターゲットが見つかったら叩くという無限ループに入りかねません。それよりも、自分が幸せになれること、気持ちが上がることをした方が有益です」

 加えて、SNSから一旦距離を置くことも有用だ。

「フランスでは、長く時間をかけて食事をする文化があって、その時はマナーとしてスマホを触らない。だから、強制的にデジタルデトックスされる側面がある。この情報社会では、難しいことかもしれないが、1日に数時間だけでも、SNSを見ない時間をつくることも、必要なのではないでしょうか」(プラドさん)

 テレビもパソコンもスマホも、電源を切ってしまえば存在しない世界。私たちは自ら匂いを嗅ぎに行ってしまっているのかもしれない。

※女性セブン2020年2月27日号

関連記事

トピックス

《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
《愛子さま、単身で初の伊勢訪問》三重と奈良で訪れた2日間の足跡をたどる
女性セブン
水原一平氏と大谷翔平(時事通信フォト)
「学歴詐称」疑惑、「怪しげな副業」情報も浮上…違法賭博の水原一平氏“ウソと流浪の経歴” 現在は「妻と一緒に姿を消した」
女性セブン
『志村けんのだいじょうぶだぁ』に出演していた松本典子(左・オフィシャルHPより)、志村けん(右・時事通信フォト)
《松本典子が芸能界復帰》志村けんさんへの感謝と後悔を語る “変顔コント”でファン離れも「あのとき断っていたらアイドルも続いていなかった」
NEWSポストセブン
大阪桐蔭野球部・西谷浩一監督(時事通信フォト)
【甲子園歴代最多勝】西谷浩一監督率いる大阪桐蔭野球部「退部者」が極度に少ないワケ
NEWSポストセブン
がんの種類やステージなど詳細は明かされていない(時事通信フォト)
キャサリン妃、がん公表までに時間を要した背景に「3人の子供を悲しませたくない」という葛藤 ダイアナ妃早逝の過去も影響か
女性セブン
創作キャラのアユミを演じたのは、吉柳咲良(右。画像は公式インスタグラムより)
『ブギウギ』最後まで考察合戦 キーマンの“アユミ”のモデルは「美空ひばり」か「江利チエミ」か、複数の人物像がミックスされた理由
女性セブン
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
30年来の親友・ヒロミが語る木梨憲武「ノリちゃんはスターっていう自覚がない。そこは昔もいまも変わらない」
女性セブン
水原氏の騒動発覚直前のタイミングの大谷と結婚相手・真美子さんの姿をキャッチ
【発覚直前の姿】結婚相手・真美子さんは大谷翔平のもとに駆け寄って…水原一平氏解雇騒動前、大谷夫妻の神対応
NEWSポストセブン
大谷翔平の通訳・水原一平氏以外にもメジャーリーグ周りでは過去に賭博関連の騒動も
M・ジョーダン、P・ローズ、琴光喜、バド桃田…アスリートはなぜ賭博にハマるのか 元巨人・笠原将生氏が語る「勝負事でしか得られない快楽を求めた」」
女性セブン
”令和の百恵ちゃん”とも呼ばれている河合優実
『不適切にもほどがある!』河合優実は「偏差値68」「父は医師」のエリート 喫煙シーンが自然すぎた理由
NEWSポストセブン
大谷翔平に責任論も噴出(写真/USA TODAY Sports/Aflo)
《会見後も止まらぬ米国内の“大谷責任論”》開幕当日に“急襲”したFBIの狙い、次々と記録を塗り替えるアジア人へのやっかみも
女性セブン
違法賭博に関与したと報じられた水原一平氏
《大谷翔平が声明》水原一平氏「ギリギリの生活」で模索していた“ドッグフードビジネス” 現在は紹介文を変更
NEWSポストセブン