20世紀初頭、野口英世は南米で蔓延していた黄熱病の研究に人生を捧げた。貧しい出自ながら勉学に没頭し、最期は自身も黄熱病に感染して命を落とした野口の生き様は、伝記として読み継がれ、多くの後継者を生んだ。
『まんが医学の歴史』の著者で、いばらきレディースクリニック院長の茨木保氏は、日本人研究者の貢献をこう評価する。
「感染症の新しい治療法を確立したという意味では、『血清療法』を開発した北里柴三郎、病原体を直接叩く『化学療法』で梅毒の特効薬サルバルサンを発見した秦佐八郎の業績が光ります」
感染症の医学史に名を刻んだ日本人研究者の志は、いま最前線で戦う者にも時を超えて受け継がれる。
※週刊ポスト2020年2月28日・3月6日号
コレラ研究の第一人者・北里柴三郎