身体をつつむソファーのようなデザインの西武鉄道Laviewのシート(時事通信フォト)

身体をつつむソファーのようなデザインの西武鉄道Laviewのシート(時事通信フォト)

 新生・西武をアピールする狙いから、”スマイルトレイン”が誕生することになったが、それは”スマイルトレイン”後も受け継がれている。新たな特急車両の開発にあたり、西武は社内の女性からも意見を募った。

 そうした議論の中から、新たな特急車両のデザイナーは固定概念を覆すために「これまで車両デザインの経験がない人」が条件として浮上する。そこから妹島さんに白羽の矢が立つ。

 デザインにあたって、妹島さんは特急の速さを強調しなかった。都市でも自然でも溶け込む、公園のようなデザインにするべく、あれこれと試行錯誤を重ねた。そして、苦難の末に、「Laview」は誕生した。

 その度肝を抜くデザインも手伝って、発表直後から鉄道ファンや西武沿線住民の間で大きな話題になった。そして、実際に走り始めるとたちまち西武の看板車両として絶大な人気を獲得する。

 こうして鉄道業界に金字塔を打ち立てた妹島さんだが、鉄道車両のみならず駅舎というハード面では、一足早く実績を残している。2011年、常磐線の日立駅がリニューアルを果たした。新生・日立駅のザインは各所で絶賛されるほど美しいが、妹島さんは日立駅のデザイン監修者を務めた。

 昨今、鉄道業界の女性進出は目覚ましい。女性運転士や女性車掌、女性鉄道ファンも決して珍しくない。

 しかし、それは接客をはじめとするサービス面、いわゆるソフトの部分だった。これからは車両や駅舎を担当するハード面でも、女性が活躍するシーンが増えるだろう。

 これまで鉄道業界の女性進出は、周回遅れと言われてきた。西武池袋線の全特急が「Laview」へと切り替わることは、鉄道業界で女性活躍の第二幕が上がることを示唆している。

西武鉄道Laviewの多目的トイレはオストメイト対応型。ベビーベッドやベビーチェアも設置されている(時事通信フォト)

西武鉄道Laviewの多目的トイレはオストメイト対応型。ベビーベッドやベビーチェアも設置されている(時事通信フォト)

西武鉄道Laviewの運転席(時事通信フォト)

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