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バイオリニスト・松田理奈が語る「300年前の名器」への思い

松田理奈はストラディバリウスを操る

 美しい音色で聴く者をうっとりさせる女性バイオリニストは、どんな愛器を使っているのか? 松田理奈(34)はこう語る。

 * * *
 この楽器は、1717年製のストラディバリウス。日々、私を育ててくれていると実感しています。300年もの間、戦争や災害をも乗り越えて、沢山の人にケアされて無事にここにいる。今この場所に存在していること自体が、奇跡だと思っています。

 私はバイオリニストのソリストとしては、スロースターターです。本格的に習い始めたのは、小学校4年生の頃。父の転勤で転校したのですが、学校に馴染むことができずに、しばらく不登校になっていました。そんなとき、たまたま手元にあって、唯一打ち込めたのがバイオリンだったんです。身体に直接伝わってくる楽器の振動が心地よくて、あの頃から何度も癒されてきました。

 幼少時から毎日10時間近く練習している人も多い世界なので、学生時代はハンディを実感したこともありました。しかし、楽器やクラシックの名曲に魅せられ続けて、バイオリンのない人生を考えたことは一度もありません。これからもずっと、理想とする音や音楽を追求し、聴いてくださる皆さんと共有していきたいです。

【プロフィール】まつだ・りな/1985年生まれ。神奈川県出身。桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコースを経て、2007年にドイツ・ニュルンベルク音楽大学を首席卒業。2010年、同大学院を首席修了。ドイツ国家演奏家資格を取得。2001年、第10回日本モーツァルト音楽コンクールヴァイオリン部門最年少第1位など多数入賞。5月6日『アルテリッカしんゆり2020フィナーレ公演 東京交響楽団ドイツ“三大B”名曲コンサート』ほか出演予定

撮影■太田真三 取材・文■戸田梨恵

※週刊ポスト2020年3月27日号

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