ビジネス

しっかり登る、止まる! 「技術の日産」が見せた雪上での車の可能性

日産車「雪上試乗会」で走破性能を体感!

日産車「雪上試乗会」で走破性能を体感!

 雪道での自動車の運転は、常に緊張感と恐怖感に襲われるもの──そんな考え方が今後変わりそうだ。日産自動車は最新技術により、雪や氷の上でも通常の路面とほぼ変わらないような運転性能を実現。ガソリン車はもちろん、EV(電気自動車)でも“楽チン”に雪道で運転できるようになった。2月1日、北海道江別市の特設試乗コースで開催された、メディア向け「雪上試乗会」イベントの様子を元に、その詳細をレポートする。

 * * *
 試乗会にはEVのリーフやノートe-Power、セレナe-Power、デイズ、スカイラインなどの日産車が勢揃いした。本イベントは雪上でのスラロームや坂道発進、周回コースなどを体験するものだ。路面は厚い雪で覆われ、ところどころアイスバーンと化してツルツル。一見すると、連続スピンしてタイヤは空転、下手をすれば壁にクラッシュという状況が予想でき、嫌な予感しかしない。

 しかしリーフに乗り込んで恐る恐るアクセルを踏むと、「あれ?滑らない」。スラロームでもほとんど滑らない。思い切ってアクセルを踏み込み、時速60キロという雪道ではありえないスピードに上げ、恐怖で絶叫しながらフルブレーキ!……でも、やっぱり滑らないのである。スラロームで無茶なハンドル操作をするとさすがにわずかに滑るものの、それでもコントロールは失わない。乾いた路面とほぼ同じ感覚で走れてしまう。

あれ?滑らない!!

あれ?滑らない!!

 秘密は、横滑りを防止するVDC(ビークルダイナミクスコントロール)とABS(アンチロックブレーキ)にあるという。

 VDCは、駆動輪の滑り出しを感知すると、モーター(ガソリン車の場合はエンジン)の出力とブレーキ圧を最適に制御して横滑りを抑える機構である。実際にVDCをオフにして走ってみたら、発進でタイヤが空転し、コーナーで滑り出してスピンした。VDCの力は覿面(てきめん)だ。

 日産テストドライバーの加藤博義氏は、リーフのVDCについてこう説明する。

「タイヤが滑り出すのを計測してトルクを下げ、滑り出さなかったらトルクを上げるという制御を1万分の1秒単位で行なっています。こういう芸当は電動車両でしかできないのです」

厚労省の「現代の名工」に選ばれた加藤博義氏の走り。VDCやABSはそれを再現したようなもの

厚労省の「現代の名工」に選ばれた加藤博義氏の走り。VDCやABSはそれを再現したようなもの

 ガソリン車にもVDCは搭載されており、試乗では横滑り防止効果を十分に感じたが、エンジンや変速機など機械部分の慣性が強いため、モーターのような細かな制御はできないという。ノートe-Powerやセレナe-Powerもモーターで走るので、リーフと同じ制御が可能だ。特にノートe-Powerには、後輪駆動用のモーターを追加した4WDバージョンがあり、15度の雪の坂道をグイグイ登っていく様は圧巻だった。

 近い将来、電気自動車が“雪道の帝王”になる日が来るかもしれない。

2WDでは登れない雪の坂道を後輪モーターを搭載したノートe-Power 4WDはグイグイ登る

2WDでは登れない雪の坂道を後輪モーターを搭載したノートe-Power 4WDはグイグイ登る

※今回はスノータイヤを着用のうえ、あくまで特設試乗コース内で行なった試乗です。雪の公道では「速度を出さない」「車間距離を空ける」など、普段より一層の安全運転を心がけてください。

北海道江別市の特設試乗コースで雪上試乗会。当日は快晴で気温はマイナス3℃と例年より“暖かかった”

北海道江別市の特設試乗コースで雪上試乗会。当日は快晴で気温はマイナス3℃と例年より“暖かかった”

軽自動車「デイズ」も全車にVDCとABSが標準装備され、急ブレーキでもコーナーでもほとんど滑らない

軽自動車「デイズ」も全車にVDCとABSが標準装備され、急ブレーキでもコーナーでもほとんど滑らない

セレナe-Powerも電動車両の強みで、雪道であることを感じさせない走りを実現

セレナe-Powerも電動車両の強みで、雪道であることを感じさせない走りを実現

前輪スリップを検知すると、瞬時に4WDに切り替え。トルクを4輪に最適配分して安定走行

前輪スリップを検知すると、瞬時に4WDに切り替え。トルクを4輪に最適配分して安定走行

1万分の1秒単位でトルクを制御し、横滑りを防止するシステムは、モーターで走る電動車両だからこそ実現できた

1万分の1秒単位でトルクを制御し、横滑りを防止するシステムは、モーターで走る電動車両だからこそ実現できた

◆協力/日産自動車 撮影/佐藤敏和 取材・文/清水典之

トピックス

松竹芸能所属時のよゐこ宣材写真(事務所HPより)
《「よゐこ」の現在》濱口優は独立後『ノンストップ!』レギュラー終了でYouTubeにシフト…事務所残留の有野晋哉は地上波で新番組スタート
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
犯人の顔はなぜ危険人物に見えるのか(写真提供/イメージマート)
元刑事が語る“被疑者の顔” 「殺人事件を起こした犯人は”独特の目“をしているからすぐにわかる」その顔つきが変わる瞬間
NEWSポストセブン
早朝のJR埼京線で事件は起きた(イメージ、時事通信フォト)
《「歌舞伎町弁護士」に切実訴え》早朝のJR埼京線で「痴漢なんてやっていません」一貫して否認する依頼者…警察官が冷たく言い放った一言
NEWSポストセブン
降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン