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元捜査一課・佐々木成三氏が刑事時代に学んだ最も大きなこと

元捜査一課刑事という異色の経歴を持つ佐々木成三氏

 元捜査一課刑事という異色の経歴を持つ佐々木成三氏の新著『優位に立てる「刑事力」コミュニケーション20の術』(小学館)が話題になっている。“落としのプロ”と呼ばれた敏腕刑事が、14年の現場経験から編み出した「相手の心を開くテクニック」とは──。『サイコパス』『空気を読む脳』などベストセラーを連発する脳科学者・中野信子氏との対談で、その極意が明かされた。

佐々木:中野先生、お久しぶりです。僕が現役の刑事だった2016年頃、ある事件で脳科学的な知見を伺いたいと連絡したのが最初のご縁でした。その時は調書の作成でもご協力いただき、ありがとうございました。

中野:あれからもう4年ですね。

佐々木:少女が監禁されていた事件でした。『逃げられる環境にあったのに、なぜ逃げなかったのか』と被害者に批判的な意見が出回っていたのですが、中野先生は『心理的監禁状態にあったから逃げられなかった』とテレビでコメントされていた。それを聞いて連絡させていただいたんです。

中野:佐々木さんをお手伝いできて嬉しかったですね。あの時、私は同じ女性として被害者に寄り添いたかったんです。そもそも、なぜ佐々木さんは脳科学や心理学に興味をもたれたのですか?

佐々木:捜査現場には、まだまだ科学的アプローチを受け容れられないベテラン刑事も多いんです。被疑者の取り調べでも、「母ちゃんが泣いてるぞ!」的な落とし方が常套手段だったり。

 ですが、僕は常々その手法には限界があると感じていた。「被疑者と同じ目線・立場で考える」ことこそ重要だと考えていたんです。それで心理面からのアプローチを重視するようになった。すると被疑者と心の距離が近づき、証言を多く得られるようになりました。

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