ある大学教員は、「音声のみでの授業配信も考えている。資料は別途ダウンロードしてもらい、資料を見ながら音声のみ聞いてもらえばパケ死(※定額の範囲外の通信で高額請求される)などもないのではないか」と考える。ただし音声だけでは学生からの質問受け付けが難しく、学生が受動的になってしまいアクティブラーニングにならないので、チャットや掲示板などで質問などを書き込んでもらって返事を書くなどのやり方を考えているそうだ。
オンライン授業と言っても、必ずしも動画である必要はない。動画を用いなければ通信量も少なくて済み、ネット接続環境を理由に受講できないリスクが抑えられるはずだ。多くの学生が受講でき、学びを止めない方法はしっかりと模索していく必要があるだろう。
オンライン授業の問題はまだ残っている。教科書などの教材は、教師と児童・生徒が対面授業を行う場合、権利者に無許諾でコピーなどを使用してもいいとされている。ところがオンライン授業は対象外のため、この点もクリアする必要があるのだ。そこで文部科学省は、4月28日に改正著作権法を施行し、一定の補償金を支払えば、権利者に無許諾で教材をオンライン授業で使用できるようにするという。
オンライン授業にはまだまだ課題が山積みだ。公立小中高校などではまだ対応していないところが多く、このまま休校が長引くと学力低下などの影響が出る可能性もある。今後、学校現場も学生側もオンライン授業を視野に入れた環境を整えていく必要がありそうだ。感染を拡大させず、しかも学びを止めない。この二つを両立できる方法の模索こそが求められているのだ。