これらをどう見るか。「さすがにプロ」と感心はしても、依存してはつまらない。「そんなもんか」でいい。そうじゃないと、勝っても負けても面白くない。自分の感性を駆使しなきゃ。
さて、半日書斎で自粛したが、今年初の芝のGI・高松宮記念くらいは楽しもうと検討した。エア馬券だ。推奨馬は頭に入れず、逃げ馬のモズスーパーフレアと人気薄をワイドで数点。そこに和田竜二のクリノガウディもいた!
殺到したゴール、思わず声をあげた。虚しい歓喜ではある。だけどご存じのとおりクリノはまさかの降着4着。高配当エア馬券はパーである。
叫び、後悔し、驚き、落胆し、実はホッとした。まさに独り相撲。いやいや、実際にクリノ絡みの馬券を買った人もいるはずだ。入線通りなら3連単は100万馬券であろう。その胸中を思えば…。
歓声もどよめきもないGIレース。不気味な静寂の結末。関東では静かに雪が降っていた。
●すどう・やすたか 1999年、小説新潮長編新人賞を受賞して作家デビュー。調教助手を主人公にした『リボンステークス』の他、アメリカンフットボール、相撲、マラソンなど主にスポーツ小説を中心に発表してきた。「JRA重賞年鑑」にも毎年執筆。
※週刊ポスト2020年4月24日号