復興の早さが市場シェア獲得で明暗を分けるというケースは、収束したわけではないものの“コロナ明け”ムードに包まれている中国市場で一部出てきている。
この3月、トヨタ自動車は前年同月比でマイナス16%まで販売を回復させてきた。それに対してホンダはマイナス50%。これは何もホンダが不人気で売れなかったのではなく、たまたま新型コロナウイルスの原発地がホンダが生産拠点を構える武漢であったことから、作りたくても作れなかったのが原因。ホンダにとっては切歯扼腕といったところだが、どんな事情があれ、注文に応えられなければ顧客を取り逃がすことにつながるのは確かだ。
「今後、復興の早いメーカーが復興が遅れたメーカーのシェアを食うという現象は世界中で起きるでしょうね。それは部品メーカーも同じで、部品づくりのための部品供給網を強固なものにして自動車メーカーの要望に素早く応えられるようにしないと、他メーカーとプレゼン合戦で負ける。
早いことにこそ大いなる価値があるというふうに頭の切り替えをしないと、復興競争を戦えません。また、部品の調達もコスト至上主義で海外一辺倒になるのではなく、足元の日本も含め、今回のような異変への抵抗性もつけなければ」(電子部品メーカー幹部)
電動化、自動運転、コネクティビティ(クルマのネットワーク接続)など、モビリティ革命のための先端技術開発競争に加え、ライバルに先んじる早さという要求が発生した自動車業界。今のところ、早期復興で優位に立っているのはパンデミックの影響が比較的小さい日本陣営と韓国陣営だ。
今後、防疫に失敗したら台無しになってしまうであろうし、もちろん世界生産、世界販売の時代なので、どうあっても必ず甚大な影響を受けるのは避けられないが、それでも根拠地となる母国が比較的無事というのは強烈な追い風だ。