もう一つ、見所があります。カメラワークです。ドラマの随所に活用されているのは超広角レンズや360度カメラ。従来ならば建造物や町並み等を写し出すのに使われたりしますが、ドラマの中で人物を映す機材として多用されるのは珍しい。なぜなら、画像が極端にデフォルメして歪んでしまうから。中心部分ほど大きく周辺になればなるほど小さく映るからです。
しかし今回はそれをいわば意図的に使い、まさしくシュールで奇妙な感じを倍増させている。そう、映像の「歪み」はそのままドラマ世界のズレ、人間関係のゆがみ、超日常感を現す表現に重なっています。
プロデューサー・松崎智宏氏(東海テレビ)は「“隕石衝突という絶望的な非日常”と“幸せ家族の日常”を対比して見せることで、今までにない斬新なホームドラマを表現したかった」と語っていますが、筋立ても役者も映像も、ともにシュールな味わいのあるこの作品を、今の不安な現実を乗り越えるパワーとして鑑賞するのも一案でしょう。