1998年、レナウンの大型キャンペーンでプレゼントされた「イエイエガール」人形(時事通信フォト)

1998年、レナウンの大型キャンペーンでプレゼントされた「イエイエガール」人形(時事通信フォト)

 それでもコロナショックがここまで長期化しなければ、もしかすると延命できていたかもしれません。

 日本では3月からコロナの感染拡大兆候が見られ、特に人口の多い東京や大阪で感染者数が拡大していたため、大都市の百貨店やファッションビルが営業時間短縮や週末休業に追い込まれました。また4月からは非常事態宣言によって、営業時間短縮どころか完全休業となってしまいました。

 これが完全にレナウンのトドメを刺したといえます。レナウンの主な販路は百貨店が191億4500万円で売上高の55.4%を占めます。GMS(大型総合スーパー)、ショッピングセンターもありますが、それぞれ55億2200万円(構成比16.0%)、39億2000万円(同11.3%)と比べると、圧倒的に百貨店の比率が高かったのです。

 そのため、都心百貨店の時短や週末休業が始まればたちどころに売上高が急落することは目に見えていました。さらに大型総合スーパーやショッピングセンターも次々に休業となってしまいましたから、レナウンが“日銭”を稼げる販路はなくなったのです。

 まだネット通販があるじゃないかと思われそうですが、レナウンは企業規模の割に圧倒的にネット通販に弱いのです。2019年12月期の実績はわずかに11億900万円で構成比は3.2%しかありません。

 実店舗のコロナ休業でネット通販の売上高が伸びたといっても、突然何十億円にも増えるはずがありませんから、レナウンを支えることは到底不可能でした。こうして追い詰められたレナウンは、民事再生法を申請するほかなかったということです。

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