5月13日に承認された富士レビオの「抗原検査」キット(写真/富士レビオ提供)
実は、抗体検査は国内でもすでに実施されており、東京都で検体数の0.6%、大阪府で1%、神戸市で2.7%が「陽性」だったとの報告がある。しかし、これらの検査はいずれも検体数が300~1000程度と少ないことや、検査キットそのものの信頼性を調べるための試験であったことなどから、数値の信頼性においては疑問が残る。
一方、海外ではすでに大規模な検査が進む。米ニューヨーク州では、1日2000人を対象に抗体検査が行われており、5月2日の集計結果では、住民の12.3%が抗体を保有していたと明かされた。
これらの数値からわかるのは、PCR検査によって感染が報告されていた人数よりも、はるかに多くの人々がすでに新型コロナに感染していた可能性があることだ。
自由診療として新型コロナの抗体検査を実施しているナビタスクリニックの内科医で、医療ガバナンス研究所理事長の上昌広さんが言う。
「私たちのクリニックで手がけた検査では抗体検査の陽性者は202人中、5.9%でした。この数値をもとにすると東京都の感染者は現在公表されている人数の200倍近く存在したことになります。国内のほかの結果を見ても、少なくとも10倍は感染者がいたと考えられる」
※女性セブン2020年6月4日号