「普通の風邪を引き起こすコロナウイルスと新型コロナとの間に、『交差反応細胞認識』が示唆されたんです。
簡単にいえば、普通の風邪に感染したことがある人に、新型コロナの免疫があるかもしれないということです。そのアメリカの研究チームの論文は、世界最高峰のライフサイエンス雑誌『Cell』に発表されました。最近、鼻風邪程度の風邪をひいた人でも、新型コロナの免疫ができたかもしれません」
逆に免疫を持っていないのはどんな人たちか。前出の中村さんは「しっかりした感染症対策をした医療従事者」を挙げる。
「防護服などで感染症対策をしている医療従事者は防御意識が高く、感染していません。実際にニューヨークでは、医療従事者の抗体化が低いことが指摘されています」
長期間、病院に入院している患者は衛生的に恵まれた環境にいるため、免疫の獲得も遅いとされる。一説には、病院内のクラスター、つまり院内感染が発生しやすいのはそうした理由があるという。乳がん治療で入院していた岡江久美子さん(享年63)が新型コロナ感染で重症化して亡くなったのも、そうした背景があるのかもしれない。
東京、大阪などの大都市圏以外で、感染者が数人~十数人の地域も獲得免疫を持つ人の割合は低いと予想される。
「そうした地域では感染者以外で獲得免疫を持っている人は皆無に近いと考えられます」(前出・中村さん)
新型コロナと共に生きなければならない新しい日常は、すでに始まっているのだ。
※女性セブン2020年6月4日号