国内

養老孟司氏、「将来の夢はYouTuber」の子供達に伝えたいこと

自然から学ぶことの大切さを説く養老孟司氏

 新型コロナウイルス感染防止のため、多くの学校が長期休校となり、子供たちも大きな不安を抱えていることだろう。そこで、解剖学者の養老孟司氏(82才)が、子供たちにメッセージを送る。

【プロフィール】
解剖学者 養老孟司/神奈川生まれ。社会現象や人間の心理を脳科学や解剖学の知識を交えながら解説。1989年『からだの見方』でサントリー学芸賞受賞。2003年に発表した『バカの壁』は419万部の大ベストセラーとなり新語・流行語大賞も受賞した。

 * * *
 学校にも行けず、友達にも会えず、ひとりで部屋に閉じこもって寂しい思いをしているかもしれない。だけど、あなたを取り巻く世界は友達や学校だけだろうか。

 世界は見方によって、「対人の世界」と「対物の世界」に大きく分かれています。「ひとりで寂しい」というのは、「対人の世界」の話のことです。

 たとえば「将来の夢はユーチューバー」という子が増えているといいます。否定はしませんが、これは子供たちがいかに「対人の世界」だけで生きているかの表れだと思う。人からどう見られるか、人とどうつきあうか。こういう関心だけで世界が成り立っているのはもったいない。

 ぼくは小さい頃から、虫が好きでした。「対物の世界」です。きっと君たちの中にも、きのこに興味があったり魚釣りが好きだったり、花の名前を覚えるのが得意だったり、そういう子たちもたくさんいるんじゃないかと思う。

 実は今回のコロナ禍で、困っているのはみな、「対人の世界」の住人です。レストランにゲームセンター、カラオケに居酒屋。こうした“対人”サービスが苦境に陥っています。

 くらべて、「対物の世界」、農家さんや漁師さんの生活はそれほど大きく変わっていないように思えます。

 ぼく自身も、毎日、朝から虫を見て「対物の世界」に生きています。すごく平和ですよ。野山に虫を捕りに行っても誰にも会いません。田舎の山の中なので、出歩いていても、自粛自警団に叱責されることもありません。

 つまり、コロナに影響を受けない世界がある、ということも、君たちには知ってほしい。世界は1つだけではないのです。

関連記事

トピックス

投打の二刀流をついに復活させるドジャース・大谷翔平
投手・大谷翔平、2度目の肘の手術を経て誕生する新たな投球スタイル 以前とは違った変化の“新スイーパー”を軸に組み立てへの期待、打撃専念シーズンの好影響も
週刊ポスト
人気を博していた芝田山親方のパン屋
国技館「スイーツ親方のパン屋」はどこへ消えた? 八角理事長は「ガチャが人気ある」と話し、芝田山親方は「いろいろあってやめちゃったんだよ」と語る
NEWSポストセブン
騒動の中心になったイギリス人女性(SNSより)
「目出し帽にパンツ1枚の男たちが…」金髪美女インフルエンサー(25)の“乱倫パーティー”参加男性の衝撃証言《タダで行為できます》
NEWSポストセブン
田村瑠奈被告
《あとで電話するね》田村瑠奈被告をクラブでナンパした20代男性が証言「“ハグならいいよ”と言われて抱き合った」【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
男はスマホで動画を回しながらSPらに近づき中指を突き立てた
突然、中指を立てて…来日中の米ブリンケン国務長官に暴言を吐いた豊洲市場スタッフが“出禁”になっていた
週刊ポスト
逝去したアイ・ジョージさん(共同通信)
《訃報》紅白12回出場歌手のアイ・ジョージさんが逝去 91歳 関係者が悼む「昨年も元気にマッコリを飲んで…」ラテン歌謡ブームを牽引
NEWSポストセブン
北海道江別市で起きた集団暴行致死事件で、札幌家裁は川口侑斗被告(18)を主犯格と認めた
《江別・大学生集団暴行》「“イキり”で有名」「教師とケンカして退学」情状酌量の余地なしと判断…少年らのリーダーだった18歳の男が“グレた理由”  浮かび上がる主犯格らとの共通項「弱そうな人や歳下ばかり狙って…」
NEWSポストセブン
渡米した小室圭氏(右)と眞子さん(写真/共同通信社)
【独占】「眞子と呼んでください…」“NYの後見人”が明かす小室夫妻の肉声 海外生活の「悩み」を吐露、圭さんから届いた「外食は避けたい」のLINE
週刊ポスト
交際が順調に進んでいるSixTONESのジェシーと綾瀬はるか
綾瀬はるか、ジェシーの会食やパーティーに出席し“誰もがうらやむ公認カップル”に 結婚は「仕事に配慮してタイミングを見計らっている状況」か
女性セブン
シューズブランド「On」の仕掛け人として知られる駒田博紀氏
大人気スニーカーブランド「On」仕掛け人経営者が“不倫&路上キス” 取材に「ひとえに私の不徳の致すところ」と認める
週刊ポスト
初場所
「溜席の着物美人」が相撲の観戦マナーを語る ブーム到来で「土俵溜まりで応援タオル」問題などが発生も…「守られないことが多いルールとは」
NEWSポストセブン
窮地に追い込まれている中居正広
《中居正広に新たな女性アナ告発報道の裏で》トラブル発覚前に「あの子いいべ…」関心寄せた元NHKアナ 過去に女性歌手らと熱愛も本命は“ちゃんとしている人”
NEWSポストセブン