自殺は減少している
会社や学校が自殺の大きな要因になっていた──自粛生活で他人との交流が減った結果、皮肉にも、“人間関係”が人々に多大なストレスを与えていた現状が浮かび上がった。
「学校や会社という環境がストレス要因の場合、その環境から一時的に離れることは、ストレスの低減に結びつきます。人間関係のストレスを感じていたなら、目の前にストレスを感じる相手がいないだけでも、気持ちは楽になります」
会社や学校にいれば、退社時間、下校時間になるまではストレスフルな環境から逃れることはできない。しかし、在宅勤務なら自宅という“安全基地”にいられる。
「オンライン会議などでストレスを感じる相手と話しても、会議終了後に画面をオフにすれば、ストレスから離れられる。また、うつ状態の人にとっては出社の支度や通勤も負担になるため、それらがないことで楽に感じた人も多いと思います」
しかし、これは短期的に状況が改善されただけであり、根本的な解決ではないと大美賀さんは警鐘を鳴らす。学校は間もなく再開され、会社も平常業務に戻るだろう。一方で、新型コロナによって“日常”は変化し、授業や行事、部活動などあらゆる面においてこれまでとは異なる状況が発生し、学生たちの精神状態に影響を及ぼす恐れもある。サラリーマンには、給与の削減やリストラが待ち受けているかもしれない。
「今後の生活の変化や経済悪化で自殺者が増加する可能性は充分にあります。また、自殺する人は5年ほど悩み続けた末に自ら死を選ぶケースが多いのですが、急激な変化のもとで、もっと短い期間で自殺に至ってしまう人も多いかもしれません」
世の中が大きく変われば人間関係も変化する。本当に怖いのはアフターコロナの人間社会だろう。
※女性セブン2020年6月4日号