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「もうママの子じゃない」コロナ禍で母が気づいた少女の本心

コロナ禍の中で気づかされた、娘の心(イラスト/ico)

 新型コロナウイルス感染拡大で、ストレスを溜めている人も多いだろう。「コロナ離婚」「コロナDV」といったニュースも次々と聞こえてくる。私たちはいま、思いやりの心を枯渇させているのかも…。そんな中で見つけた心温まる実話を紹介する。

『行方不明になった娘』(42才・パート)

 4月に入り、日本でも新型コロナウイルスによる死者が急増し、私は不安でたまりませんでした。子供を守ることが使命だと、消毒、手洗い、マスクの着用を徹底。家にウイルスを持ち込まないようにと神経質になっていました。

 運動が大好きで活発な小2の娘は、家にこもっていることに耐えられず、私の隙をついてはひとりで遊びに出てしまうこともあり、毎日イライラ…。

 そんな私の救いとなったのは4才の息子でした。私がためいきをつくと、「大丈夫?」などと頭をなでてくれるんです。

 そんなあるとき、娘がまたひとりで家から出ていき、暗くなるまで帰ってこなかったんです。私は必死で探し、トンネルのようになっている遊具の中で見つけたときは、とてつもない怒りがわきました。

「そんなに家が嫌なら、ひとりでどこにでも行けば! もうママの子じゃない!!」

 と、怒鳴ってしまいました。娘はしばらくして口を開き、

「私はママの子だったの? 家にいてよかったの?」

 と聞くのです。予想外の言葉に怒りを忘れ、理由を尋ねると、

「だって、あの家の子はゆうちゃん(弟)だけなんでしょ。ママもパパもジイジもバアバも、ゆうちゃんだけかわいがってるもん」

 ハッと息をのみ込んだまま、呼吸を忘れるほど驚きました。かつて義両親が「ようやく跡取り息子が生まれた」と男の子の誕生をとても喜んだこと、私たち夫婦が、息子ばかりをかわいがって、娘には勉強とお手伝いばかりを求めていたことに気づかされました。

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