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2020.06.04 16:00  女性セブン

コロナで暴かれる日本的差別、政府ではなく店員に怒りの矛先

◆新型コロナが暴いた日本的差別意識

 緊急事態宣言が解除されたいまも、彼らへのクレームは増える一方だ。

 SNSに散見される投稿からは、5月までは「お前たちはマスクをして接客しているのに、どうしてマスクを売っていないんだ」と言っていた人が、解除されたとたんに「解除されたのに、なんでまだマスクをつけているんだ」と薬局の店員に詰め寄ったり、レジで「このビニールシートを外せ! 失礼だろ!」と怒鳴るなど、緊急事態宣言中とはまったく異なる“被害”が続出しているようだ。

 なぜこんな理不尽な言動がエッセンシャルワーカーに向けられてしまうのか。その根底には、とても強い不安が潜んでいると、精神科医の片田珠美さんが指摘する。

「欧米で死者が激増し、日本でも志村けんさんや岡江久美子さんなどの著名人が亡くなりました。ワイドショーなどで連日そうした報道がされたことも影響し、社会全体の感染への不安が非常に強くなった。さらに経済が大打撃を受けていることで、生活への不安も増しました。多くの人は極度の不安で視野狭窄に陥っています」(片田さん・以下同)

 多くの人がエッセンシャルワーカーは「誰にでもできる仕事」と思いがちだという問題も大きい。

「そもそも、日本は過度の学歴社会。店員や配達員などのことを勝手に“それほど高学歴ではない人”とみなし、見下す傾向があります。こうした仕事に対し、“特別な知識や技術がなくてもできるものであり“誰にでもできる”という間違った思い込みもある。これは先進国に共通する風潮であり、大きな問題です」

 そのうえで人々がエッセンシャルワーカーにつらく当たるのは、「怒りの置き換え」というメカニズムが働くからだという。

「たとえば、“上司や姑から叱責されて腹が立った”としても、本来の怒りの原因となった人が怖くて直接怒りをぶつけられない場合、その矛先は弱い立場の人に向けられます。

 今回のコロナによって生まれた強い不安のそもそもの原因は、目に見えないウイルスや政府。だから、怒りを直接ぶつけられなかった。そこで怒りの矛先を変え、店員や配達員などの弱い立場の人々に不満をぶつけているのです」

 今回のコロナ禍では、人命を守るために不眠不休で働く医療従事者にまで感染の疑いの目が向けられ、理不尽につらく当たられる事態となった。片田さんは、これは“コロナ感染への不安”からくる差別だと話す。

「医師や看護師などの医療従事者が、一般の人よりコロナに感染するリスクが高い環境にいるのは事実です。よって“この人たちからうつるかも”という心理が働く。それは理解できますが、一般の人よりも正しい知識があり、より入念な対策を取っているのも事実。そもそも、医療従事者がいなければ感染者を治療できません。医療従事者への差別は自らの首を絞めるだけです」

 一方、役所の給付金窓口で職員にクレームをつける人も後を絶たない。

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