神戸山口組最高顧問である池田孝志組長の心は、もはや神戸側から離れているのかもしれない。神戸山口組では池田組の他、有力団体の宅見組なども、離脱はしないが積極的に動こうとしていない。山口組を裏切って離脱し、新団体を立ち上げたのだから、二度も裏切れないと自縛しているのだろうか。
六代目山口組と神戸山口組は特定抗争指定を受け、警戒区域となった6府県10市の組事務所は使用できないうえ、おおむね5人以上で集まるのも禁止される。だが、岡山はその警戒区域から漏れていた。
「今回の事件で、すぐに池田組事務所自体は立ち入り禁止にできる。ただし岡山が抗争特定指定の警戒区域にならなければ、市内の神戸山口組や六代目山口組傘下の事務所などはそのまま使えるし、池田組傘下の拠点も制限されない」(警察関係者)
6月5日、岡山県警は暴対法に基づく使用制限の仮命令を出し、事務所は無人となった。抗争が終結する見込みはなく、3か月後には本命令が出されるだろう。県警は警戒区域にするべく情報収集を続けるという。
「法律は融通が利かない。抗争はやってやり返す、攻撃と報復があって初めて定義を満たす。池田組は報復をしていないので要件を満たせないかもしれないと心配している」(同前)
岡山市は人口が多く、ヤクザの住み処もまだでかい。県条例が厳しくて店舗型の風俗店が非常に少ないため派遣型が多く、中には禁じられている行為をしている派遣型店舗も少なくない。ラブホテルの近くには客引きがいて、言えばすぐに女性を手配してくれる。こうした違法な店は、ほぼヤクザのシノギになっている。
池田組がもし報複をしなければ彼らの威厳は落ち、ヤクザが大好きな甘い蜜に余所者が寄ってくるだろう。報復を自粛しても結局は弱肉強食の掟に飲み込まれる。殺さなければ殺される。
暴力社会はどこまでも安泰とは無縁である。