つまり、ぶりっこが嫌われる背景には、男性たちの鈍感さがあるということ。その上で鈴木氏は、女性たちの田中に対するイメージの変化を分析する。
「田中さんの場合は、男性から見ても明らかに作り込んだキャラクターをしているのがわかるため、女性から見て『男性が都合よく騙されている』という印象がないのは大きい気がします。田中さんも当初ブレークしたときは、あまり女性ウケが良くなかった印象がありますが、“さりげなさのない”徹底した自分の作り込みに徐々に世間が気付き、『ぶりっこ』『あざとい』といった印象から『プロ』『役割を意識』といった印象に変わっていったのではないでしょうか」
たしかに近年は、田中の語る“ぶりっこ論”がむしろ称賛される機会が増えている。2月4日に放送された『グータンヌーボ2』(関西テレビ)では、「『ぶりっこしてないじゃん』って電車でささやかれたら、降りるときに『ぴょん!』って可愛く降りたりします。それは“田中みな実”だから」と語り、「サービス精神がすごい」と共演者たちを驚かせた。
徹底したプロ意識という意味で言うと、「どうした、田中みな実!」と世間を驚かせたドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系、6月13日より放送再開)での怪演も同じことかもしれない。田中は同ドラマにおいて美人秘書・姫野礼香役を演じており、片目に眼帯を着けた姿で「私の目の代わりになるって言ってくれたよね!?」「許さな~~~~~~い!」とホラーな演技を披露している。
なぜ飛ぶ鳥を落とす勢いの田中みな実が、このようなヘンテコな役柄を演じているのか……? しかし、それもまた彼女のプロ意識が為せる業。女性向けサイト『毎日キレイ』のインタビューでは、女優業について語る中で「求めていただいたからには裏切りたくない」と発言している。
本気でおふざけに取り組む人間は、周囲から好感を抱かれるものだ。なんと姫野を主役としたスピンオフドラマが制作されるという報道も出ており、ドラマ『M』をきっかけに田中の好感度はますますアップしていきそうだ。
●取材・文/原田美紗(HEW)