「先行きが見通せない中で、中小・小規模事業者の皆さんからは、正に死活問題であるとの悲痛な声がある一方で、歯を食いしばって、この試練を耐え抜くよう頑張っていくという決意も伺うことができました」
“まだ耐えられますね”と受け止めていたのだ。
そんな認識だから、対策を発表するときも言葉だけが踊ってしまう。「前例のない中小・小規模事業者支援」「思い切った生活のための給付」と誇張された表現を続けてからこうぶち上げた。
「感染の拡大が抑制され、社会的な不安が払拭された段階では一気に日本経済をV字回復させていく」
1年延期された東京五輪についても“バラ色”の言い方をした。
「人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、国民の皆様と共に来年のオリンピック・パラリンピックを必ずや成功させていきたい」
だが、これがいかに無責任な言葉だったか。この日の会見での記者との質疑応答で感染終息の見通しをこう語ったことからもわかる。
「オリンピックを遅くとも来年の夏までに開催するということで、バッハ会長と合意をしました。先般、G20共同声明において、この決断を称賛すると強い支持が表明されたところでありますが、ではいつこのコロナとの闘いが終わるのか、終息するのか。現時点で答えられる世界の首脳は一人もいないのだろうと。私もそうです。答えることは残念ながらできません」
※週刊ポスト2020年6月26日号