発言が問われる時代
口は災いの元、常日頃から心がけておくに越したことはない。大人力について日々研究を重ねるコラムニストの石原壮一郎氏が考察した。
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言葉は大きな力を持っています。使う言葉によっては、自覚がないまま「そういう人だったんだ」と、ガッカリされたり不本意なレッテルを貼られたりすることも。残念な事態を招かないために、「会社などで使わないほうがいい言葉」を押さえておきましょう。
覚えやすいように、古来から“生活の知恵”として合コン界隈や夜の街界隈に伝わっている「男性が喜ぶ『さしすせそ』」にならってみました。ちなみに、古典の「さしすせそ」は「さすが」「知らなかった」「すごーい」「センスいい」「そーなんだ」です。こう言っておけば喜ぶんでしょと心の中で舌を出している女性側のしたたかさと、まんまと喜んでしまう男性側のチョロさが凝縮されてますね。
最近は「男性に言ってはいけない『たちつてと』も話題です。そちらは「たいしたことないね」「ちがうでしょ」「つまんない」「適当でいいよ」「遠いから無理(orとんでもない)」だとか。どういう意味で「言ってはいけない」かは、各自でお調べください。当然ですけど、男性から女性にも言わないほうがいいでしょう。
さて話は戻って、会社などで使わないほうがいい「さしすせそ」です。
●相手を呆れさせるトホホなオヤジの「さしすせそ」
さ 早急(さっきゅう)な対策を講じて参ります
し しかるべき対応を取ったものと承知しております
す スピード感を持って実行いたします
せ 責任を痛感しておりますor説明責任を果たしていきます
そ それはいわば、まさに、いわゆる……
どの言葉も、最近ちょくちょく耳にする気がします。無理筋な弁解をしようとしたり、心にもない反省の気持ちを伝えようとしたりする場面で、つい便利に使ってしまいがち。聞いた側がどんなに呆れるか、言っている本人の値打ちをどんなに下げるかは、こういう言葉を使いがちな人の姿から、間接的に感じ取れるはず。もって他山の石としましょう。
せっかくなので、パワハラオヤジが言いそうな「あいうえお」も考えてみました。このご時勢で口にしたら、身の破滅になりかねない危険な言葉ばかりです。年齢を重ねると頭や意識を切り替えるのはなかなか困難ですが、肝に銘じて厳重に封印しましょう。
●タチの悪いパワハラオヤジが言う「あいうえお」
あ あの件と言えばあの件だよ。いちいち聞き返すな
い いつまでも学生気分でいるんじゃない
う ウチのやり方が気に入らないなら辞めてもいいんだよ
え 偉そうなことを言うのは100年早い
お お前の代わりなんていくらでもいるんだからな