◆まず筋トレ&ウォーキング正しいフォームより継続!
久野さんがすすめるのはまず筋トレとウオーキングだ。
高齢者の場合、運動不足の影響がてき面に出るのは移動能力。筋力が弱り、立ったり座ったり歩いたりが億劫になり、生活にも支障が出る。
「ただでさえ高齢者は筋肉量が減っています。しかし、90代からでも鍛えると筋肉量を増やすことができます。まず家で基本の筋トレを始めましょう。ごく簡単な3種類の筋トレだけで大丈夫。筋肉はゆっくりと負荷をかける動作を繰り返すことで増えます。少しきついなと思う程度まで続けるのが効果的です」
さらにウオーキングは心肺機能が鍛えられる有酸素運動。筋トレ効果はあまりないが、外に出て季節を感じたり、人と笑顔を交わしたりと、多大な健康効果があるという。
「正しいフォームや速度にこだわらなくていい。まず歩くだけで健康増進になるのです。 中年までは1日8000歩以上、高齢者は7000歩以上が目安ですが、続けて歩かなくてもOK。1日の間に何回かに分けたり、天気や気分で1週間の間で分けてもいい。家で家事をやったり、車やエレベーターに乗るところをがんばって歩いたり、全部トータルしていいのです」
ただし、こだわるべきは靴。
「特に女性は高齢になってから外反母趾や巻き爪など足のトラブルが増え、運動の妨げになることもあります。ひざや腰の負担にならないためにも、クッション性のあるしっかりしたソールのシューズをおすすめします」
筋トレとウオーキングとも週3~5回。訓練のように課すのではなく、週2日は休み、楽しく気軽に行うことが大事。
「運動が苦手という人はご存じないかもしれませんが、体を動かすことで、気持ちよさを感じる物質が分泌されます。また毛細血管が新生されて酸素供給量が増え、徐々に疲れにくくもなります。運動して快感が継続したり、疲れなくなるまでに2~3週間かかります。ぜひ運動の気持ちよさ、楽しさを実感するまで続けてみてください」
◆イラスト/鈴木みゆき
※女性セブン2020年7月2日号