◆血を吸う目的は産卵のため
なぜ、メスだけが吸血するのだろうか?
「本来、蚊は花の蜜などの糖分を餌とします。ところが、卵を産まなければならないメスは、それでは栄養が足りない。産卵に必要なたんぱく質を効率よく摂るには、動物の血が最適のため、血を吸うというわけです」
メスの蚊の平均体重は約2mg。産卵にはそれと同じ重量の血が必要で、しっかり吸えたら、卵を産むための場所へ飛んでゆく。吸血から産卵までの約2~3日は、主に外に出て産卵場所を探しているという。
産卵場所は、水たまりや流れのない側溝など。ペットボトルのキャップ1杯分以上の水がたまる場所であれば産卵できるため、植木鉢の受け皿や、ひっくり返したバケツの縁のみぞなども格好の産卵場所になる。
「川や水田などに蚊の幼虫(ボウフラ)が多いと誤解されがちですが、川のように水が流れる場所に蚊は産卵しません。ボウフラを食べる魚などの天敵がいない植木鉢の受け皿のような場所を好むというわけです」
ヒトスジシマカの場合、卵の数は30~50個程度で、個数は吸血した量に比例する。黒ゴマのような形態をしていて、大きさはゴマの5分の1程度。一方アカイエカは、100~200個ほどの卵を1か所にまとめて産卵する。
メスは産卵後、さらにまた卵を産むため、吸血活動を再開する。
※女性セブン2020年7月9日号