ライフ

「肝臓がん」と「膵臓がん」はなぜ検診で調べないのか

なぜ肝臓がん検査、膵臓がん検査はないのか?(イラスト/河南好美)

なぜ肝臓がん検査、膵臓がん検査はないのか?(イラスト/河南好美)

 体内の様々な部位に罹患し、日本人の死因として最も多いのが「がん」だ。しかし、日本人に多いがんの中でも、がん検診での検査が推奨されているものとそうでないものに分かれるのはなぜなのか。『週刊ポストGOLD 正しい健康診断』より解説する。

 検査による早期発見で命が救われるケースも多いが、国が推奨している「がん検診」は次の5種類のみ。

●胃がん検診
●子宮頸がん検診
●肺がん検診
●乳がん検診
●大腸がん検診

 部位によって検診の対象となる年齢や受診の間隔は異なり、市区町村など自治体から委託を受けた医療機関等で、無料で受けられる。

 ただし、男女合わせた日本人の部位別の死亡数で上位3つを占める「肺」「大腸」「胃」には検診がある一方で、4番目に多い「膵臓がん」や5番目に多い「肝がん」には国が推奨する検診はない。その理由を厚生労働省健康局がん・疾病対策課に尋ねた。

「がん検診については、検診によって受診した人たちの死亡率が下がるなど、有効性のエビデンス(科学的根拠)があるもののみを国として推奨している。研究によって有効性が証明されているものが現在の5項目のみということです」

 では、国が推奨する検診がない膵臓がんなどにはどう備えればいいのか。国立がん研究センターの一般向け情報提供サイト「がん情報サービス」では〈膵臓がんについては、現在、指針として定められている検診はありません。気になる症状がある場合には、医療機関を早期に受診することが勧められます〉としている。同サイトでは膵臓がんの症状として、腹痛、食欲不振、腹部膨満感、黄疸、腰や背中の痛みなどを挙げる。

 これらは膵臓がん以外でも起きる症状だけに判断が難しいが、罹患が疑われる場合は、医療機関で腹部超音波(エコー)検査、CT検査、MRI検査などを受け、それでも診断に至らない場合、超音波内視鏡検査などで総合的な判断がなされる。

 死亡数が多いのに検診のない部位のがんは、それだけ早期発見が難しいということでもある。一人ひとりが正確な知識を持って、予防に取り組む必要がある。

※週刊ポスト2020年7月1日号増刊『週刊ポストGOLD 正しい健康診断』より

関連キーワード

関連記事

トピックス

野生のヒグマの恐怖を対峙したハンターが語った(左の写真はサンプルです)
「奴らは6発撃っても死なない」「猟犬もビクビクと震え上がった」クレームを入れる人が知らない“北海道のヒグマの恐ろしさ”《対峙したハンターが語る熊恐怖体験》
NEWSポストセブン
8月20日・神戸市のマンションで女性が刺殺される事件が発生した(右/時事通信フォト)
《神戸市・24歳女性刺殺》「エレベーターの前に血溜まり、女性の靴が片方だけ…」オートロックを突破し数分で逃走、片山恵さん(24)を襲った悲劇の“緊迫の一部始終”
NEWSポストセブン
大谷が購入したハワイの別荘に関する訴訟があった(共同通信)
「オオタニは代理人を盾に…」黒塗りの訴状に記された“大谷翔平ビジネスのリアル”…ハワイ25億円別荘の訴訟騒動、前々からあった“不吉な予兆”
NEWSポストセブン
話題を集めた佳子さま着用の水玉ワンピース(写真/共同通信社)
《夏らしくてとても爽やかとSNSで絶賛》佳子さま“何年も同じ水玉ワンピースを着回し”で体現する「皇室の伝統的な精神」
週刊ポスト
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
《駆除個体は名物熊“岩尾別の母さん”》地元で評判の「大人しいクマ」が人を襲ったワケ「現場は“アリの巣が沢山出来る”ヒヤリハット地点だった」【羅臼岳ヒグマ死亡事故】
NEWSポストセブン
決勝の相手は智弁和歌山。奇しくも当時のキャプテンは中谷仁で、現在、母校の監督をしている点でも両者は共通する
1997年夏の甲子園で820球を投げた平安・川口知哉 プロ入り後の不調について「あの夏の代償はまったくなかった。自分に実力がなかっただけ」
週刊ポスト
真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン