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2020.07.19 07:00  週刊ポスト

【嵐山光三郎氏書評】鬼や神様を探し続けた四年間の集大成

『ニッポン脱力神さま図鑑』宮田珠己・著

【書評】『ニッポン脱力神さま図鑑』/宮田珠己・著/廣済堂出版/1600円+税
【評者】嵐山光三郎(作家)

 日本各地の路傍から石仏、田の神、赤鬼、仁王、道祖神、狛犬などを捜し出す「ミヤタの旅」に注目している。よくぞここまで捜しまわった。優雅な田の神、ピンク色の石仏、おっさん風、銀座マダム系、石柱をくりぬいた大黒天、木の葉に覆れた精霊がずらり。

 白パンツ鬼コ、赤鬼、青鬼、ピンク鬼、緑鬼などが青森県の神社に揃いぶみ。国東半島には石造の仁王像が多く、短足で挙手する仁王が愉快。この地は私も歩いて多くの磨崖仏を拝した。国東半島には、断崖に彫られた古代石仏や修験道に由来する仏さまが多い。秋田の道祖神、肥前狛犬に至るまで、三二三体の脱力系神さまが収録されている。

 なかでも注目されるのは佐賀県や長崎県に多い小さな狛犬で、狛犬四兄弟、皺だらけ狛犬、図形狛犬、コンパクト狛犬、ひとめぼれ狛犬、磨耗狛犬、こんにちは狛犬、大口狛犬、アニメ顔狛犬、宇宙人狛犬、ぺったんこ狛犬、バットマン狛犬、ガマ狛犬群、狛犬なのかどうなのか(磨耗しすぎ)、狛犬ブル、哀愁狛犬(私に似ています)、猫背狛犬、ワラビ鼻狛犬、レモン目狛犬、円柱狛犬、ふんばり狛犬、デレ狛犬、牙狛犬、恐竜狛犬、など、いるわいるわ、デフォルメされた簡素な造形で、狛犬のネーミングはすべて筆者が名づけた。天正年間から江戸時代中期までに作られた像で、ほとんどが安山岩を彫ったものだ。時代が下ると砂岩や蛇紋岩が使われたという。

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