ライフ

【嵐山光三郎氏書評】鬼や神様を探し続けた四年間の集大成

『ニッポン脱力神さま図鑑』宮田珠己・著

【書評】『ニッポン脱力神さま図鑑』/宮田珠己・著/廣済堂出版/1600円+税
【評者】嵐山光三郎(作家)

 日本各地の路傍から石仏、田の神、赤鬼、仁王、道祖神、狛犬などを捜し出す「ミヤタの旅」に注目している。よくぞここまで捜しまわった。優雅な田の神、ピンク色の石仏、おっさん風、銀座マダム系、石柱をくりぬいた大黒天、木の葉に覆れた精霊がずらり。

 白パンツ鬼コ、赤鬼、青鬼、ピンク鬼、緑鬼などが青森県の神社に揃いぶみ。国東半島には石造の仁王像が多く、短足で挙手する仁王が愉快。この地は私も歩いて多くの磨崖仏を拝した。国東半島には、断崖に彫られた古代石仏や修験道に由来する仏さまが多い。秋田の道祖神、肥前狛犬に至るまで、三二三体の脱力系神さまが収録されている。

 なかでも注目されるのは佐賀県や長崎県に多い小さな狛犬で、狛犬四兄弟、皺だらけ狛犬、図形狛犬、コンパクト狛犬、ひとめぼれ狛犬、磨耗狛犬、こんにちは狛犬、大口狛犬、アニメ顔狛犬、宇宙人狛犬、ぺったんこ狛犬、バットマン狛犬、ガマ狛犬群、狛犬なのかどうなのか(磨耗しすぎ)、狛犬ブル、哀愁狛犬(私に似ています)、猫背狛犬、ワラビ鼻狛犬、レモン目狛犬、円柱狛犬、ふんばり狛犬、デレ狛犬、牙狛犬、恐竜狛犬、など、いるわいるわ、デフォルメされた簡素な造形で、狛犬のネーミングはすべて筆者が名づけた。天正年間から江戸時代中期までに作られた像で、ほとんどが安山岩を彫ったものだ。時代が下ると砂岩や蛇紋岩が使われたという。

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン