さまざまな国からの食品にこんな物質が含まれていた
「中国国内では人手不足などで物流に支障が生じ、輸出量全体が減少しています。一方で、新型コロナ感染を収束させた台湾やベトナムでは流通が復活しており、国内のメーカーの中には、輸入先を、輸入しやすい国に変更することを検討するところも出ています。これは、過去に判明したリスクのある食材が使用される可能性があることを示します」
そう語る中村さんは、えびを例に挙げる。
「2010年に、ベトナム産の冷凍養殖えびから、食品衛生法で定められた基準値を超えたトリフルラリンが検出されたことがありました。これは、藻の除去に使う除草剤です。この基準値は2013年に緩和されているため、除草剤の残ったえびを口にするリスクがあります。ではベトナム産を避ければいいのかというと、産地の変更が表示に反映されていなければ、選ぶことができません」
◆国内業者による騙しのテクニック
公益財団法人「食の安全・安心財団」の常務理事・事務局長である中村啓一さんは消費者心理を逆手に取った『中国産隠し』の可能性を指摘する。
「中国産の食品によいイメージを持ってない消費者が多いことから、計画段階では『原材料:うなぎ(国産)』としておきながら、実際には中国産を使用し、ホームページで『原材料は場合によって産地が変わります』と表記するかもしれません」
メーカー側に良心があればこういった“偽装表示”は起こらない。しかし、残念ながら消費者庁による通知の前から、単なるミスとは思えない事例が相次いでいる。
2019年10月、宮城県の業者が「福島県産」のももを「山梨県産」と表示。同年11月には兵庫県の業者が加工品の原材料に「ホルスタイン種の牛肉」を使用したにもかかわらず「黒毛和種」と表示、2020年1月にはやはり兵庫県の業者が原産地を「中国」と明記しないまま玉ねぎを流通させていた。これらも、たまたま明るみに出たごく一部のケースととらえるべきだろう。
※女性セブン2020年7月30日・8月6日号