コロナ禍で多くのドラマの放送が再開。『MIU404』(TBS系)でも話題の岡田健史が初めて時代劇に挑戦した『大江戸もののけ物語』(NHK BSプレミアム)も、にわかに注目を集めている。コラムニストのペリー荻野さん見どころを解説する。
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『中学聖日記』でドラマデビュー後、『ドクターX』シリーズ『MIU404』、映画『弥生、三月-君を愛した30年』など、話題作に出演が続く岡田健史。彼のNHK初出演作にして初時代劇作品となったのが、BSプレミアムで放送中の『大江戸もののけ物語』である。
物語は、幼いころから、しゃっくりが出るともののけが見える能力を持つ旗本の次男坊・新海一馬(岡田)が、寺子屋の師匠をしながら、さまざまな出来事に遭遇。それをもののけたちと協力して乗り越えていくというもの。ポイントは、一馬が「幼いころからしくじってばかり」の思いっきりへっぽこ侍であることだ。寺子屋でこどもたちを静かにさせようとしても、みんな言うことを聞かず、ほぼ学級崩壊状態。するとしっかり者の教え子お雛がビシッと締めて静かにさせる。お雛ににらまれてトホホ顔の一馬。だが、第一話では、お雛の「死んだ母に会いたい」という願いを叶えるため、古代の火焔土器から蘇ったもののけ、天の邪鬼(あまのじゃく・本郷奏多)らとともに、一馬が恐ろしいもののけ“魂さがし”相手に自分の「魂」を賭けた作戦を考える。一馬、なかなかいいやつなのだ。
へっぽこの若者と妖怪で思い出すのは、2007年のドラマ『しゃばけ』だ。主人公は江戸の大きな薬種問屋の一人息子一太郎。とにかく体が弱く、ドラマ冒頭、怪しい男に追いかけられると、100メートル走る間に三度も転ぶ有様。ちょっと動けば熱を出す一太郎は当然、翌朝は布団の中。そんな息子に「大福を砂糖漬けにしても足りないくらい甘い」両親は、「おかゆを全部食べた」というだけで涙ぐみ、「薬を全部飲んだ」というだけで「ごほうびがいるな」とそわそわするのである。このへなへな若旦那を演じていたのは、手越祐也。思えば、これが手越のドラマ初主演作であった。
へなへなな主人公ともののけ。ここで興味深いのは、妖怪役の俳優たちの張り切りぶりだ。なんだかんだ言いながら一馬を助ける天の邪鬼は、土器が体にも顔にも張り付いた状態で、特殊メイクだけでもかなり時間がかかる。もっと大変なのは、頭の皿から足ひれのついたつま先まで、ぴっちり作り込む河童だ。演じているのは青山美郷。ってことは、メス河童? そして、もうひとり(一匹?)忘れてはいけないのが、猫又。しっぽがふたつに割れた長寿猫で、ぱっと見は町娘。