本来なら、2020年7月24日に開会式を迎えるはずだった東京五輪のため、はるばるギリシャから特別輸送機で日本に運ばれた「聖火」。
聖火リレー延期決定の後、聖火は4月2日から福島県「Jヴィレッジ」で一般公開。しかし、その後は保管場所が明らかにされてこなかった。その聖火が、7月21日夕方に八王子市内の施設から新国立競技場近くの施設へと移されていたことがわかった。大会1年前となる23日に開催されるセレモニーで使用されるためだという。どうやって保管していたのか。
五輪組織委の戦略広報課によると、「ランタンで灯油を燃料にして保管」していたという。セレモニーが開かれた後も、1年間の保管が必要になる。ランタンの火を1年間保存するのは、想像以上に大変なことのようだ。ビンテージランタン専門店「ビブラント」の中村優汰・店長が言う。
「10~15時間に1度は灯油の補給が必要です。ランタンは構造上、燃料交換のたびに火が消えてしまう。そのため、同時に複数のランタンを使って火を継ぎ足し続けているのではないでしょうか」
五輪組織委は保管のコストについて非公表としているが、中村氏によると、1年間火を灯し続けるとランタン1本あたり20万円ほどの燃料代が必要という。監視や注油などの人件費、保管場所の確保など様々な費用がかかっていくのは間違いない。
果たして聖火がスタジアムの聖火台に着火される日は来るのだろうか。
※週刊ポスト2020年7月31日・8月7日号