国内

コロナで経営ピンチの病院が廃業、そうなれば患者はどうなるか

医療従事者によるストライキも発生(船橋二和病院フェイスブックより)

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、病床数や人員不足による医療現場の“逼迫”が報じられる中、ついに経営がパンクしそうな病院が現われ始めた。

 一時、全職員のボーナス不支給の方針を打ち出していた東京女子医大病院では、400人を超える看護師が退職を希望。その後、一転してボーナス支給を表明したが、収支の悪化が囁かれていた。コロナ患者を受け入れ奮闘した千葉県の船橋二和病院では、「夏のボーナス0.9か月分」との回答に反発した労組が7月10日にストライキを決行。ゼッケンをつけた医師や看護師が県庁などを巡り苦境を訴えた。

 一部の病院だけの話ではない。全日本病院協会などの調査では全国の7割近い病院が赤字に転落したと判明。コロナ禍による外来患者減のほか、コロナ患者受け入れ病院では「手術の延期などで収益が圧迫された」ことが原因と分析されている。東京都病院協会常任理事で東京さくら病院の東海林豊院長が嘆息する。

「当グループの外来でも耳鼻科が約60%、小児科が約50%、総合内科でも約40%もの減収でした。病院経営では人件費率が50~60%と高率を占めますが、売り上げが減っても削れない。今後も苦しい状況が続くと思われます」

紹介状だけではダメ

「病院は潤沢な資金がある」と思いがちだが、実はそうではない。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師が説明する。

「診療報酬は全国一律で、東京都心など高い固定費がかかる地域ではもともと収支が厳しい。そこにコロナが押し寄せた。多くの科を抱え莫大な初期投資や維持費を背負う都心の民間総合病院、テナント料の高いオフィスビルやホテル内に入居するクリニックは特に厳しい状況にあると思われます。今後は医療機関の倒産が相次いでもおかしくありません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン