実際、重症者数はすでに増加している。7月23日までの1週間で東京は10人から21人に、大阪でも4人から13人に増えた。厚労省が4月、5月の状況を分析すると、重症者のピークは5月8日で、新規感染者が最も多かった日から約1か月後だったことがわかった。このままいくと、ウイルスの弱毒化など奇跡が起きない限り重症者は増え続け、8月中旬にはピークを迎え100人を超す可能性がある。

 都は感染者受け入れのため2400床の病床を確保しているが、重症者用は100床しかない(7月27日現在)。

 菅義偉官房長官は22日、「(都の)医療体制については入院患者数は増加傾向にあるものの、ひっ迫している状況とは考えておりません」と述べたが、同日に行われた東京都のモニタリング会議で、杏林大学医学部教授の山口芳裕さんが「東京で医療体制がひっ迫していないというのは誤り」と国の見解を真っ向から否定した。

 理由は2つある。まず病床を増やすにはスタッフのシフト変更や病床レイアウトの変更、入院患者の移動などが必要で、2週間を要する作業となり、迅速な対応が難しい。また、仮に病床を確保しても、医療従事者のマンパワーが不足すれば、重症者は受け入れられない。

 血液内科医の中村幸嗣さんも「都は対策を怠った」と指摘する。

「重症者用の受け入れには知識と技術のある専属スタッフが必要で、病床や機材だけを確保しても意味がありません。しかも重症者は入院期間が2週間から1か月と長い。重症者用のベッドが100床しかないことを考えると、重症者の入院が週に7人までなら医療崩壊せずに持ちこたえられます。しかし、それを超え続けると、あっという間に満床となり、重症者を治療することができず、『命の選別』を迫られる恐れがあります」

 第二波の本当の怖さを知るのはこれからだ。

※女性セブン2020年8月13日号

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