国際情報

【アメリカ発】売春を合法化しようとする「進歩派」の愚

世界中で「売春する女性の権利」を擁護する声はあるが(EPA=時事)

 売春は「人類史上、最古の仕事」などと称されることもある。人権が普遍の価値とされる現代社会では、それは認められない考えに思えるが、実は世界各地で売春を合法化しようとする活動が起きている。そうした声は女性の「権利」や「自由」を訴える進歩的フェミニズムに基づいているのだという。売春問題に取り組む女性ライターRylee Free氏は、そうした風潮に疑問を呈する。

 * * *
 CNNの番組で、コロナ危機のなかで売春をしている女性たちが、保健当局や女性支援団体から受けたという「アドバイス」が報じられていた。「マスクをして手袋をはめなさい。対面式の体位は避けなさい」、さらに、「ナース服を着て体温計を出します。体温が正常ならプレイしてください。熱があれば、そこで終了します」とまで言われたそうだ。

 売春を支持する人たちは、売春する女性を「セックスワーカー」と表現し、起業家や実業家にたとえている。そうした立場でなされた研究によれば、性産業の女性たちは「自分の身体の一部を売っているのであって、自分自身を売っているのではない」と訴えており、心と体をうまく切り離すことで彼女たちは救われるとしている。確かに、性を売る女性は自分の体を人格から切り離された商品として扱っている面はある。体を道具として扱い、心は閉ざし、精神を健全に保とうと必死になる。

 アメリカ国内に限らず、女性の独立や自由の観点から売春を非犯罪化しようとする動きは常にあり、そうした活動を支持する人々は、女性が自分の人格から自分の体を切り離せるという考えを持っている。「彼女たちは自分を売っているのではなく、ただセックスを売っているだけだ。セックスワーカーは女性の強さと独立性の象徴であり、被害者ではない」と主張する。

 しかし、そうした進歩的と思われているフェミニストたちは、女性の尊厳を向上させようとする自らの努力を踏みにじっている。「セックスワーク」や「女性の社会進出」といった言葉は、売春を正当化し、浄化するために作られた婉曲表現である。商業化されたセックスという邪悪な世界をこれらの言葉で覆い隠すことで、進歩主義者たちはそれが実際にどれだけ有害かを隠してきた。現実には、売春は人間性を大きく奪うものだからだ。

 売春する女性たちの心は、体が必死に耐えている頻繁なセックスに打ちのめされている。彼女たちが売春を「有料のレイプ」「レイプされるという契約書にサインすること」「生活のためにレイプされること」と表現していることを忘れてはいけない。性産業に従事する女性が精神的に苦しんでいるのは当然である。9か国854人を対象としたある研究では、面接を受けた売春経験者の68%がPTSD(心的外傷後ストレス障害)の診断基準を満たしていた。そして彼女たちは、拷問に耐えてきた退役軍人や難民のような症状を見せた。身体的な暴力は、間違いなく精神と感情に影響を与え、それは私たちの心身が統合されたものであるという現実をはっきり示している。

関連記事

トピックス

イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
川崎春花
【トリプルボギー不倫の余波】日本女子プロ2022年覇者の川崎春花が予選落ち 不倫騒動後は調子が上向かず、今季はトップ10入り1試合のみ「マイナスばかりの関係だった」の評価も
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
「中野駅前大盆踊り大会」前夜祭でのイベント「ピンク盆踊り
《中野区長が「ピンク盆踊り」に抗議》「マジックミラー号」の前で記念撮影する…“過激”イベントの一部始終
NEWSポストセブン
没後16年だが、死してもなおその偉業は人々の脳裏に刻まれ来年には自伝的映画『Michael』が公開予定である。(1988年・時事通信フォト)
《アメ横に興味津々》マイケル・ジャクソンと仕事を共にしたデザイナーがもらった“1400万円プレゼント”とそこに残されていたMJの痕跡
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
『東宝シンデレラ』オーディション出身者の魅力を山田美保子さんが語ります
《第1回グランプリは沢口靖子》浜辺美波、上白石姉妹、長澤まさみ…輝き続ける『東宝シンデレラ』オーディション出身者たちは「強さも兼ね備えている」
女性セブン
9月6日から8日の3日間、新潟県に滞在された愛子さま(写真は9月11日、秋篠宮妃紀子さまにお祝いのあいさつをするため、秋篠宮邸のある赤坂御用地に入られる様子・時事通信フォト)
《ますます雅子さまに似て…》愛子さま「あえて眉山を作らずハの字に落ちる眉」「頬の高い位置にピンクのチーク」専門家が単独公務でのメイクを絶賛 気品漂う“大人の横顔”
NEWSポストセブン
川崎市に住む岡崎彩咲陽さん(当時20)の遺体が、元交際相手の白井秀征被告(28)の自宅から見つかってからおよそ4か月
「骨盤とか、遺骨がまだ全部見つかっていないの」岡崎彩咲陽さんの親族が語った “冷めることのない怒り”「(警察は)遺族の質問に一切答えなかった」【川崎ストーカー殺人】
NEWSポストセブン
シーズンオフをゆったりと過ごすはずの別荘は訴訟騒動となっている(時事通信フォト)
《真美子さんとの屋外プール時間も》大谷翔平のハワイ別荘騒動で…失われ続ける愛妻との「思い出の場所」
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン
海外から違法サプリメントを持ち込んだ疑いにかけられている新浪剛史氏(時事通信フォト)
《新浪剛史氏は潔白を主張》 “違法サプリ”送った「知人女性」の素性「国民的女優も通うマッサージ店を経営」「水素水コラムを40回近く連載」 警察は捜査を継続中
NEWSポストセブン
川崎春花
【トリプルボギー不倫の余波】日本女子プロ2022年覇者の川崎春花が予選落ち 不倫騒動後は調子が上向かず、今季はトップ10入り1試合のみ「マイナスばかりの関係だった」の評価も
NEWSポストセブン