◆自分のいる時空間が把握できると落ち着く
認知症に多い症状の1つに見当識障害がある。いまがいつで自分がどこにいるかなどの見当がつかなくなり、非常に不安なのだという。認知症の人の落ち着きなく不可解な行動は、この不安感からくる場合が多いという。
「見当識が弱まるため、家の中など閉鎖空間にいると不安やストレスが増す特徴があります。自分のいる時空間が曖昧になるのです。屋外に出て、外から家を見ることで自分の位置が確認できて安心する。
慣れた道を歩いて公園まで行き、帰ってきて“あの角を曲がると家だ”と確認し、空の色を見て“そろそろ夕方かな”と感じたりして、体内にある羅針盤や時計のような機能を維持しています。
外に出なければその能力がどんどん衰えますが、認知症の人はそれが早い。密を避けてコロナから身を守りつつ、大切な生活機能と安心を守るために少しでも屋外に出ることが重要です」
※女性セブン2020年8月13日号