6月は新宿にも日常と活気が戻り、マシになったという。それにしてもコロナは怖くなかったのか。私もコロナ禍をしばらく取材しているが、新宿、とくに歌舞伎町の住民の多くはコロナどこ吹く風だった。そして都内のクラスターと感染者は増え始め、連日3桁の新規感染者を叩き出す現在に至る。
「せっかく(客が)戻り始めたのにね。コロナに罹る人もまた増えてる。怖いけどしょうがないですよ、食ってかなきゃいけない。なのに昨日もホストの人とかマスクもしないで4人乗ってきて、助手席にマスク無しのお客さん。タクシーのコロナ対策の仕切りとか意味ないですよね」
歌舞伎町のホスト、キャッチ、それに類するやんちゃなお兄ちゃんたちのマスクしない率は凄い。7月になるとさすがに「夜の街」バッシングとその象徴となったホストクラブも風当たりと指導を気にしてかマスク姿も見られたし、実際、「店がうるさいからしてる」という子もいたが、まだまだ「マスクなにそれ?」状態のイキったお兄ちゃんたちも多い。
「でも彼らもお客さんだからね、断るわけにもいかないし、もう開き直って走ってます」
東京ハイヤー・タクシー協会ではコロナウイルス感染防止対策として7項目を提示している。そもそもマスクはもちろん、三密を避けるために出来る限り2名乗車(運転手除く)、助手席は使わないようにお願いしているが、あくまで「お願い」で客側は守るはずもない。運転手も強く言えるわけもない。いわゆる「近セン」(近代化センター、現在は東京タクシーセンターで略して「タクセン」や「センター」)にでも言いつけられたらやっかいだ。基本的に注意・指導を一方的に受けるのは立場の弱い運転手、あることないこと言われて呼び出しをくらうかもしれない。
「女の子はおとなしくマスクしてるのにね。場所柄あるけど、男はだめだね」
もう呆れて半笑いの新村さん。営業エリアの問題もあるのかもしれないが、深夜の歌舞伎町をしばらく離れるのもありではないか?
「いや、仲間に渋谷のほうがいいよって言われたんだけど、渋谷よくわかんなくて。あそこで拾えるとか、ここが狙いだなんて言われてやってみたけどいまいちです。新宿のほうがまだ距離乗る人がいますし、私はやりやすい。どこ走っても稼げる要領いい人もいるんだろうけど、普通は自分の稼げる場所を決めますね」