国内

不法滞在中に「ロト2.8億円」当てたタイ人の天国と地獄

ロトが当たった人の末路…

 ロト6で1等2億8000万円をゲット──一攫千金を夢見る庶民にはうらやましすぎる話だが、栃木県に住むタイ人男性にとって、これが悪夢の始まりだった。降って湧いた幸運に恵まれたはずの彼は、大金をめぐる人間の業と欲に翻弄されていくのである。7月30日、宇都宮地裁で、あるタイ人男性が原告となった損害賠償請求の第1回口頭弁論が開かれた。この訴訟が起こされるに至る経緯は、あまりに数奇なものだ。

〈ロト6 1等2億8000万円出ました!! 当せん番号〇〇〇〇〇〇番〉

 2018年6月、栃木県内の宝くじ売り場に掲げられた貼り紙を見たタイ人男性A(60代)は、足の震えが止まらなかった。当せん番号はまさに自分が買ったロト6の番号だった。

 まさに“ジャパニーズ・ドリーム”の成就だったが、Aには素直に喜べない事情があった。Aを知る関係者が打ち明ける。

「実はAは20年以上前に来日したのですが、ずっと不法滞在なんです。土木や溶接などの仕事をしながら慎ましく暮らし、故郷の家族に仕送りを続ける真面目な彼にとって、3億円近い当せん金はまさに巨万の富でしたが、不法滞在がバレるのが怖くて名乗り出られませんでした。当せん番号の発表から1年間の換金期限が迫るなか、Aは苦悶する日々を送っていました」

 換金リミット直前の2019年6月、切羽詰まったAは旧知の仲である日系ブラジル人男性Bにすべてを打ち明け、「自分の代わりに当せん金を受け取ってほしい」と頼んだ。

「30年ほど前、ブラジルに家族を残して来日したBは、以前は栃木県内の工場で働いていましたが現在は無職です。同年代のAとは15年ほど前に共通の知人を通じて知り合い、時々食事をする仲でした。Bは在留カードを所持しており、当せん金受け取りの銀行口座を作れる身分でした」(Aを知る関係者)

 快諾したBは、Aに手渡されたロト6の当たりくじを携えて銀行を訪れ、手続きを済ませた。こうしてBの口座に当せん金の2億8000万円が振り込まれた。

 だが、これでハッピーエンドとはならなかった。Bは銀行に怪しまれないよう数千万円を小分けに引き出し、合計約5000万円をAに渡した。ところがその後、何かと理由をつけて残金を渡すのを渋るようになった。Bは複数の女性に大金を貢ぎ、地元のキャバクラで豪遊を繰り返していたという。

「急に羽振りのよくなったBの噂は夜の街で瞬く間に広がりました。金の匂いを嗅ぎつけて近づく女性たちにBはカネをバラ撒き続け、その金額は数千万円に達したようです」(前出・Aを知る関係者)

関連キーワード

関連記事

トピックス

2014年に結婚した2人(左・時事通信フォト)
《仲間由紀恵「妊活中の不倫報道」乗り越えた8年》双子の母となった妻の手料理に夫・田中哲司は“幸せ太り”、「子どもたちがうるさくてすみません」の家族旅行
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(左/Xより)
《大学時代は自由奔放》学歴詐称疑惑の田久保市長、地元住民が語る素顔「裏表がなくて、ひょうきんな方」「お母さんは『自由気ままな放蕩娘』と…」
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《自宅から遺体見つかる》遠野なぎこ、近隣住民が明かす「部屋からなんとも言えない臭いが…」ヘルパーの訪問がきっかけで発見
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《大谷翔平バースデー》真美子さんの“第一子につきっきり”生活を勇気づけている「強力な味方」、夫妻が迎える「家族の特別な儀式」
NEWSポストセブン
詐称疑惑の渦中にある静岡県伊東市の田久保眞紀市長(HP/Xより)
田久保眞紀市長の学歴詐称疑惑 伊東市民から出る怒りと呆れ「高卒だっていい、嘘つかなきゃいいんだよ」「これ以上地元が笑いものにされるのは勘弁」
NEWSポストセブン
東京・新宿のネオン街
《「歌舞伎町弁護士」が見た性風俗店「本番トラブル」の実態》デリヘル嬢はマネジャーに電話をかけ、「むりやり本番をさせられた」と喚めき散らした
NEWSポストセブン
横浜地裁(時事通信フォト)
《アイスピックで目ぐりぐりやったあと…》多摩川スーツケース殺人初公判 被告の女が母親に送っていた“被害者への憎しみLINE” 裁判で説明された「殺人一家」の動機とは
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《女優・遠野なぎこのマンションで遺体発見》近隣住民は「強烈な消毒液の匂いが漂ってきた」「ポストが郵便物でパンパンで」…関係者は「本人と連絡が取れていない」
NEWSポストセブン
記者が発行した卒業証明書と田久保市長(右/時事通信)
《偽造or本物で議論噴出》“黄ばんだ紙”に3つの朱肉…田久保真紀・伊東市長 が見せていた“卒業証書らしき書類”のナゾ
NEWSポストセブン
JESEA主席研究員兼最高技術責任者で中国人研究者の郭広猛博士
【MEGA地震予測・異常変動全国MAP】「箱根で見られた“急激に隆起”の兆候」「根室半島から釧路を含む広範囲で大きく沈降」…5つの警戒ゾーン
週刊ポスト
盟友である鈴木容疑者(左・時事通信)への想いを語ったマツコ
《オンカジ賭博で逮捕のフジ・鈴木容疑者》「善貴は本当の大バカ者よ」マツコ・デラックスが語った“盟友への想い”「借金返済できたと思ってた…」
NEWSポストセブン
米田
《チューハイ2本を万引きで逮捕された球界“レジェンド”が独占告白》「スリルがあったね」「棚に返せなかった…」米田哲也氏が明かした当日の心境
週刊ポスト